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“性はグラデーション” なぜ性の多様性が叫ばれる時代なのか

IGYOULAB(イギョウラボ)を運営する医療専門コンサルティング会社「トゥモロー&コンサルティング」では、2023年1月に性の多様性に関するセミナーを開催しました。中京大学でジェンダー論を担当されている風間孝教授のインタビューを交えて、診療所でどのような意識を持ち、どのような環境を整えていけばよいのか考えました。

風間教授は、ジェンダーや性的マイノリティーなどに関する多数の著書を出されているほか、メディアやTEDx Talksなどでも幅広く発信されています。(なお、記事の最後に動画のリンクがありますので、合わせてご覧ください。)

風間教授のインタビューの中で特に印象的だった言葉などをIGYOULABの編集部がピックアップし、3回にわたってご紹介していきます。診療所づくりのご参考にしていただければと思います。

1回目の今回は、「性の多様性とは何か」について考えます。

性のあり方を考える5つの要素とは?

人の「性」は次の5つの要素の組み合わせで考えます。

1、生物的な性(身体の性)
2、戸籍の性別
3、性自認(自分の性別をどう認識しているか)
4、性的指向(どの性別に惹かれるか)
5、性表現

性的指向一つとっても「男性に惹かれる」「女性に惹かれる」「どちらにも惹かれる」「恋愛・性的感情を抱かない」など様々な人がいます。性自認や性表現なども人によって様々なパターンがあり、この5つの要素を組み合わせると、性のあり方は無数にあるのです。

まさに「人の数だけ性のあり方がある」ということです。

性のあり方は、ずっと変わらない人もいれば、時間や状況によって変化する人もいるといいます。

一人一人違って当然 多様性の尊重を

風間教授は、性の多様性について「一人一人、性のあり方が違っていて当然。その多様性を尊重する、本人が大切にしていることを、周りの人も大切にすることが大事」だと話します。

LGBTQ+が昨今、よく聞かれるようになりましたが、当事者の人数が増えているのではなく、SNSによる発信などで見聞きする機会が増えるという社会が変わってきているのです。

誰もが「性の多様性」の中に含まれる

性の多様性というと、LGBTQ+といった性的マイノリティーのことだと思われがちですが、「異性愛者」や戸籍の性別と性自認が一致している「シスジェンダー」も多様性の中に含まれています。つまり、マイノリティーだけでなく、マジョリティーも含んでいるということがポイントです。

SOGI(ソギ、ソジ)という言葉をご存じでしょうか。
SOとはセクシュアルオリエンテーション(性的指向)、GIとはジェンダーアイデンティティ(性自認)を示しています。

では、LGBTQ+とSOGIとの違いはなんでしょうか。

LGBTQ は性的マイノリティーに焦点を当てている言葉で、SOGIは、マイノリティーだけでなく、異性愛者やシスジェンダーといったマジョリティーも含んだ概念を示しています。

風間教授は、「マイノリティーの困難に向き合うときはLGBTQ+という言葉は有効」とした上で、時に「自分には関係ない」と切り離しをされることがあると指摘します。その一方で、SOGIという言葉は、性の多様性が全ての人に関わることだということを訴えることができ、どういう文脈で使うのかを考え、使い分けをすることが大事だと話していました。

性的指向や性自認は、誰にでも関係することで、多様な性のうちの一つのあり方が自分である、全ての性のあり方が尊重されるものであるということなんですね。

性はグラデーション

よく、性はグラデーション(濃淡)と表現されます。

性的指向、性自認、性表現は、男性と女性とハッキリ区切られるものではなく、人によって惹かれる度合いなどが異なることから、ベクトルで表現するという考え方です。

風間教授は、グラデーションという概念は、自身の性のあり方を見つめ直すのに役立つと話していました。一つ一つの性の要素に濃淡があるからこそ、その要素の組み合わせで成り立つ私たちの性のあり方は、唯一無二のものであることが分かりますね。

編集部あとがき

尊重とは、人が大切に思っていることを、自分も大切に思うこと。とても印象深い言葉でした。今回のセミナーに参加された方からは、

「その人が大切にしていることを自分も大切にすることの重要さ、尊重の大切さを改めて感じた」というご感想もいただきました。

性のあり方は無数にあり、その多様性を尊重することは、一人一人の生き方や価値観を尊重することにも繋がるのだと感じました。いま一度、性に限らず、多様性について考えるきっかけになっていただければ幸いです。

次回は性的マイノリティーの人たちを理解し支援する「ALLY(アライ)」についてご紹介します。風間教授がお話しされたキーワードは「行動する」ということでした。

次回は2月27日配信予定です。

TEDxNagoyaUの動画です。

著者:IGYOULAB編集部(イギョウラボ)

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