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変化するもの変わらないもの|歯科医療従事者が見る歯科業界

歯科業界に転職をし、歯科助手として勤務して12年が経ちました。「歯科業界5年後予測」として、歯科助手の立場から、院内感染対策やスタッフ教育などについて、変化することだけでなく、今後も変わらないであろうことも合わせてお伝えしたいと思います。

多様化する働き方と教育

社会人1年目のころ、「仕事は嫌でも続けるもの」退職の選択肢はありませんでした。今の時代はどうでしょうか?「やりたくない仕事を我慢して続けない、やりたい仕事をやる」という若者が増えたように感じます。

教育をとってみても、私の時代では見て覚えることが当たり前でした。
今の時代ではどうでしょう?
新人の方向けにマニュアルを作成し、個々の成長のためにカリキュラムを完備している歯科医院も増えたのではないでしょうか?

仕事をする上で、スタッフから「モチベーションがあがらない、やりがいがない」という声をこれまで多く聞いてきました。ではモチベーションがあがらない、やりがいがないと悩む方に質問をします!

▼あなたにとって仕事って何?
▼働くとは?
▼なぜモチベーションがあがらないの?
▼どうやったらやりがいに繋がる?

などいくつか質問をします。

仕事に対する熱量や考え方などは、人それぞれ違うのは仕方のないことです。ですが、本人になぜかを問い、理由を明確にしてあげることはとても大切です。入社したものの、なんとなくモチベーションがあがらないから退職を繰り返すということは、想像できることではないでしょうか?こういったマインド面の後輩指導や育成方法は、今後も必要だと感じます。

画像:イメージ

時代の変化に柔軟に対応できる『思考』が今後とても大事になってくると思います。

5年後にはどんな新常識があるかわかりません。

常に変化を恐れず、先読みして、何事にも柔軟に対応できるかどうか?スタッフ教育にせよ、「昔はこうだったから」「こうあるべき」という今まで常識としてきたものを手放し、新しい概念のものを受け入れるクリニックの体制は必要だと考えています。

よき指導者・メンターの役割とは

メンターの役割の一つとして、後輩の成長を促すことが挙げられます。

私が大切にしていることの一つに「そのスタッフの役割をしっかりと認識してもらい、間違っていたら軌道修正すること」があります。

どんなに頑張って仕事をしていても評価されないスタッフがいたとします。スポーツジムでどんなに汗水垂らして頑張っていても結果がでない。これと同じです。
働き方、トレーニングの仕方が少し違うことを、指導者であるメンターが指摘し、修正する必要があると思います。職場ではメンター、スポーツジムではパーソナルトレーナーのように。

「『何が違っているのか?』を正しく伝え、理解してもらう」ということが大切です。

キャリアアップに欠かせない自己投資

私は歯科助手であるので国家資格保持者では当然ありません。
ですが、正直なところ資格の有無は関係ないと思っています。

歯科医師や歯科衛生士が本来の業務に専念できるようサポートすることが私の役目だと思っていますし、歯科助手だからこそできることはたくさんあります。
歯科助手として、これからも歯科業界に居続けたい、未来の歯科助手の価値を高めたいと思います。

そのために自己投資は欠かせません。業界に居続けていくには、キャリア年数に関係なく自分に付加価値を付けていくしかありません。時間は有限であり、お金では買えません。

また、人とのご縁もお金では買えません。
お金では買うことができないものに価値を見出し、日々精進していきます。

気軽なオンラインセミナーの落とし穴 アウトプットの機会を

コロナ禍でセミナーを気軽に受講する機会が爆発的に増えたように感じます。インプットすることは大事ですが、きちんとアウトプットできている方がどれくらいいるのでしょうか?多くは学んで良い話を聴けた!と自己満足で終わってしまっていると思います。私自身もその一人でした。

インプット:アウトプット=3:7の割合が理想と言われていますが、多くの方はインプット中心の生活になってしまっているのが実情ではないでしょうか。

とあるセミナーを受講したもののアウトプットする場が無くて困っていたとき、知人の歯科衛生士に発表する場を提供していただいたことがきっかけとなり、2021年にアウトプットを目的とした会を設立しました。
歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士など職種を問わず、自己成長に繋げる場を提供しています。

現在は企画・運営・司会を務め、月に1回、アウトプットを目的とした会をオンラインで開催しています。

【インプット→アウトプット→フィードバック】

この流れを習慣化することが非常に大切です。

会ではスライド作成や発表することに慣れていない方が多くいらっしゃいます。事前に会のメンバーがサポートしますので、発表当日は自信をもって臨んでいただけます。

また、少人数ならではの取り組みとして、発表後は会のメンバーからの適切なフィードバックを受けることができます。希望者には当日の会の様子を撮影した動画をお渡ししていますので、動画を見て振り返ることで自分のクセなど新たな気付きに繋がります。


会のメンバーには古くからの友人もいますが、SNS上でこの会に興味をもっていただいたことで繋がり、一度もお会いしたことがない方もいらっしゃいます。
面識がない人が主催する会に入ること自体、とても勇気がいることです。

コロナが収束した頃には、お一人お一人に直接会いに行き、入会をしてくれたお礼を直接伝えると決めています。

感染管理についての正しい知識を

最後に歯科医院内の感染管理についてお話ししたいと思います。

歯科医院によっての洗浄や消毒、滅菌のやり方は様々かと思います。
ただし、正しい知識のもとで感染管理を行っている歯科医院は多くはありません。

「知らないから疑問に感じない」
「先輩に教わったことだから」
「違和感があるが変えることが面倒だから」

など理由はたくさんありそうですね。

特に私のように歯科助手であれば、専門的な知識を学ぶ先は勤務先であり、現場でのやり方を後輩に指導していく、そのサイクルが実情かと思います。
まずは感染管理についてエビデンスに基づいた正しい理解をし、院内全体で取り組むことが非常に重要です。

また求職者の職場選びの条件の一つに
『感染管理をしっかり行っている歯科医院であること』
と耳にすることが増えた気がします。

言い換えれば、しっかり感染管理を行っていない歯科医院は今後、求職者に選ばれなくなる時代が5年後には来るということかもしれません。感染管理を日常的、当たり前に行う。そんな歯科医院がたくさん増えることを願っています。

著者:神谷有香

歯科助手


愛知学院大学短期大学・英語コミュニケーション学科卒業後、名古屋市内のホテルフロントにて勤務。入社二年目で日勤チーフとなる。電話応対・クレーム対応・接遇マナー・スタッフ育成などの経験を活かし、20代半ばで歯科業界へ転職。新規開業の歯科医院2件のオープニングスタッフとして勤務し、主任として歯科医院の経営サポートや歯科助手の教育などに携わる。

【主な資格】TC Basic Instructor、第二種歯科感染管理者、アンガーマネジメントベーシック、秘書検定、英語検定、日本語検定など