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地域医療の道を選んだワケとは|都会と地方の2拠点で

「その人がその人らしく生きる」これが、くまのなる在宅診療所の理念だ。自宅で最期を迎えたい、自宅で過ごしたいという患者さんの願いを叶えられる選択肢をつくろうと、在宅医療が浸透していないこの地域に在宅医療をメインに行う診療所が開設された。

この診療所は、三重県の最南端、紀宝町にある。海、川、山に囲まれた自然豊かな場所だ。一方で 人口約1万800人の紀宝町がある南牟婁郡は、65歳以上の高齢化率が40%近くある高齢化や過疎化が進んでいる地域でもある。

「くまのなる在宅診療所」では24時間体制で在宅医療を行っている。この診療所に2021年3月から仲間に加わったのが、大森直美医師(33)だ。濱口政也院長(39)をはじめ、看護師3人、事務職員2人の仲間とともに、この地域の医療を担っている。

大森医師は現在、大阪府内の病院と、くまのなる在宅診療所を掛け持ちしている。大森医師がなぜ縁もゆかりもない地域の診療所に携わる決意をしたのか、地域医療に携わり何を感じ、学んでいるのかなどについて、2回にわたってお伝えしていく。

大阪在住の医師がへき地で働こうと思えるきっかけとは?

岡山県出身の大森医師は、高校まで地元の学校に通い、順天堂大学医学部に進学。大阪の病院で初期研修を受け、後期研修では泌尿器科の道を選んだ。大学病院に5年間務め、専門医を取得したのち、現在は、大阪の病院と三重県紀宝町のくまのなる在宅診療所と兼務している。

 小学生の頃、カトリックの学校でボランティアに参加することが多かったことから、人の役に立つ仕事をしたいと考えるようになった。医療家系ではないものの、様々な選択肢を与え学ぶ環境を整えてくれた両親と、幼い頃から医師を志していた弟の影響もあり、自身も医師を志すようになる。現在は姉弟ともに医師として活躍しているという。

(キャプション:学生の頃、弟と撮った1枚 左側が大森直美医師)

三重県は縁もゆかりもない土地。しかし、祖母の家が岡山県内の田舎にあり、自然の中で育ったことから地方に行くことに抵抗はなかった。学生のころから地域医療に興味があったという大森医師は、どこかで地域医療に携わりたいと考えていたとき、大学時代にセミナーで出会った濱口政也院長に声をかけてもらい、地域医療に足を踏み入れる決断をしたのだ。

(左側は濱口政也院長)

 時代と共に変わる医師のキャリア変化

「医学生の頃は大学病院の医師しか知らなかったため、“医師といえば医師の仕事しかできない”というイメージが強かった」と当時を振り返る。しかし、実際に働き始めると、自分の趣味と医療を両立させて活躍している先生や、プロスポーツ選手の先生、会社を経営しながら医師として働いている先生など、今まで出会ったことのないキャリアを持つ医師たちとの出会いがあった。医療だけでなく、自分がやりたいことも一緒に実現できる可能性があるのだと知ったとき、何か自分の中で気持ちが楽になったという。医療とその他の分野の両立や、様々な経験や挑戦を応援してくれる濱口院長の考え方も地域医療に足を踏み出す大森医師の背中を押した。

病院と診療所の違いを感じ医師としてのキャリアを決断

現在は、大阪の病院と三重の診療所を掛け持ちしている大森医師。月曜日と火曜日の午前は大阪の病院で、水曜日から金曜日は三重の診療所で働き、2拠点での生活を続けている。片道およそ3時間半かかるため、火曜日の午後と土曜日は移動に使うというローテーションだ。「フットワークが軽いとはいえ、週1回約200キロの車移動は大変。ルートを変えて新しい発見を楽しみ、三重についた先で海や山の自然をみて癒されることが元気の源になっている」と語る。

大学病院は設備が整っていて、働く医療スタッフも多い。そして情報もたくさんある。最先端の医療を行う上では、とても勉強になる良い環境だという。ただ「病気を学ぶ、病気を診るという印象が強い」と大森医師は話す。一方で、地方で携わっている在宅医療は、「患者さんや家族に密着した“人を診る”医療だと感じる」という。これまで長く都会で働いてきた大森医師にとって、地方は人手や設備が十分でなく出来ないことがあるものの、「患者さんを診る」という医療は、自分がやりたかったことに近いのではと今は考えている。


「若いときに地域医療を選ぶのは早い」と言われたこともあったという。しかし、「患者さんと近い医療に携わりたいという思いが年々強くなり、一度、環境を変えて経験を積む道を選んだ」と振り返る。

次回は、大森医師が地方にきて、何を感じたのか。都会と地方の2拠点で医療に携わることは、医師としてどうプラスに働いているか、さらに詳しく聞いていく。

次回の配信は1月21日(金)の予定です。

著者:IGYOULAB編集部(イギョウラボ)

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