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出会いや学びを大切に|能動的な歯科業界へ

やりがいを感じられる職場

歯科衛生士になって今年で14年目になります。毎日やりがいを感じ、とても充実しています。時間がある時はクリニックのことを考えたり、セミナーで知識を得たり、心から楽しいと思えています。そう思えるのは、今の職場でたくさんの人との出会いがあったからだと思います。

今の職場では、歯科衛生士はユニットをそれぞれ1台持ち、口腔衛生管理や保健指導、審美性の向上を目指し、患者さんを診ています。担当制で患者さんの口腔内を診ていくため、経過をみながら前回との比較がしやすいです。そしてコミュニケーションもとりやすく、患者さんの知人や家族が、私を指名して予約してくれることもあり、とても嬉しくやりがいを感じています。

そして、現在YouTubeチャンネルで自分の番組を持つなどの活動もしています。チェアータイムが限られているため、話しきれないことは、QRコードをお渡しし、自宅などで観ていただいています。自宅でも歯科や私のことが話題になることは、家族みんなで歯科への意識が上がるきっかけになり、照れますがとても嬉しく思います。みなさんに喜んでいただくことは、私自身の働く意欲やモチベーションアップに繋がります。

海外研修や多様な経験から得られる多くの学び

私の夢であった海外研修では、北欧の歯科事情を学びました。そこでもたくさんの出会いがあり、幅広い視野で歯科について考えることができました。今でもSNSで繋がったり、年賀状を送り合ったりと、この出会いは私の宝物です。

私は休日を利用して、当医院の仕事だけでなく、グループ医院の開業や、他医療法人の新人歯科衛生士の教育、さらにはメーカーの展示会での製品説明の仕事もしています。

このような働き方ができているのも、理解ある理事長にご指導いただいているからだと感じています。

やりたいビジョンがあっても一人では叶いません。経営者である先生の経営理念を理解し、お互いを信じることが大切だと思います。私を信じていただくために、自身が行ったことは、先生の思いを聞き、その考えに対して共感することです。同じ考えを持ち、同じ方向を向いていないと良い方向には進めません。

そして、先生のビジョンに対して結果を出すことです。現状と目標を明確にすることも大切です。利益が上がれば、より良い機器や材料を使って質の高い技術を患者さんに還元でき、やりたいことの可能性が広がります。数字を上げようと思うほど、知識や技術も向上すると、私は常々思っています。

このように考えるようになったきっかけは、オープニング研修で得たキャッシュフローの知識だと思います。歯科衛生士の立場においても、知って良いことなのだ、知っておかなければならないことだと意識が変わりました。それは自身の達成感や、モチベーションを維持するための、意味ある経験になっています。

時代に合わせて常にアップデートを

歯科衛生士として仕事をする中で今でも不安になることがあります。それは、新しい情報収集ができているかということです。

私が学生だった時代と今では知識も技術も進歩しています。先輩から、現状を教えて欲しいと言われたこともありました。そのようなことからも、常に知識や情報のアップデートは必要だと感じています。

5年後の歯科医療は、自費治療が増え、歯科治療の質が高くなる必要があると考えます。その理由として、患者さんは歯科治療や歯のメインテナンスなどの価値が分かっているからです。メインテナンスでは質を追求し、デンタルグッズは、「高かろう良かろう、安かろう悪かろう」というように、価格の高いものほど買い求める傾向にあります。

新型コロナウイルスによって多くの人の健康意識が上がりました。インターネットやSNSなどからも簡単に情報が得られる時代、私ども医療従事者は、正しい知識と情報を提供する必要があります。

歯科医院の数はコンビニエンスストアより多いと言われている中、多すぎてどこに行って良いかわからないと言う声をよく耳にします。初診の患者さんはホームページを見ることが多いと思いますが、患者さんの定着やリピートに繋がるのは「口コミ」だと思います。居心地のいい雰囲気や接し方を徹底することにより、良い印象を患者さんに与え、良い口コミを増やすことにも繋がるのではないでしょうか。

大学病院のように何カ月待ってでも予約をして行きたい場所、そんなブランド力を備えることは、歯科経営においてもプラスになると思います。

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基礎をもとに新たな吸収のためアンテナを

今後、定期的な指導やメインテナンスの必要性を意識する人が増え、中には歯科衛生士の質の違いが分かる人も増えていくでしょう。患者さんに近い存在である歯科衛生士は、自分が貢献できる機会が広がるからこそ、知識や技術を得ながら常にアップデートしていけるかが、患者さんからも選ばれ、働く安心や自信にも繋がるポイントだと考えます。

歯科衛生士学校で学んだことが全てではなく、基礎を大切にしながら新しい情報を得られるアンテナが必要です。

現在、歯科衛生士として働いていない資格保有者は多くいらっしゃると思います。そういう人が安心して自信を持って復帰できるよう、再就職される歯科衛生士のためのブランク復帰研修を今後できたらと考えています。

能動的な職場を目指して

自身の人生やライフステージを考えることも大切です。どんな働き方が理想で可能なのか。歯科衛生士として決められた患者さんに向き合うだけでなく、自分から何をすべきか考え、できることを増やすといった発想を持つことも歯科衛生士には必要だと考えています。

個々のライフステージによっては、時間軸も大切な時代です。朝活が流行ったように、患者さんや働く側の需要から、多様な働き方があっても良いと思います。働きやすい環境が、患者さんやクリニック、先生のため、そして自分自身や家族のためにもなるでしょう。

最後に、アップデートできる環境は歯科衛生士だけでなく、歯科医院全体に必要です。まずは、自分自身の人生やキャリアパスをどうするか考え、歯科衛生士として受動的ではなく能動的に働ける人が増える、5年後そんな歯科業界を望みます。

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著者:田中瑠実

すずらん歯科矯正歯科・歯科衛生士

朝日大学歯科衛生士専門学校卒業。岐阜県の歯科医院で8年間勤務した後、医療法人仁支会すずらん歯科矯正歯科でオープニングスタッフとして勤務し、6年目となる。チーフとして、よりよい職場づくりに取り組む傍ら、某医療法人にて歯科衛生士の教育や指導、グループ医院の新規開業の立ち上げにも携わる。北欧海外研修も経験。