歯科分野におけるデジタル技術の広がり
コロナ禍において医療分野のデジタル化がますます進んでいます。一方、対面処置が主な歯科分野では広く普及することは難しいかもしれませんが、診療内容によっては、患者さんの利便性向上と診療効率化、継続的なフォローアップが必要な分野で取り入れることができると感じています。
今回は下記の3つの矯正関連の事例をご紹介します。
・SmileView
・オンライン相談や説明
・遠隔モニタリング
クリニック運営のヒントになれば幸いです。
目次
矯正後イメージを提供するSmileViewとアウトカムシュミレーター
患者さん自身、一番関心があることは「矯正が終わったらどんな風に笑えるか」「治療後、どんな歯並びんになるのか」です。そのニーズに瞬時答えるこのツールは、矯正治療を後押しする大きなきっかけになるでしょう。
百聞は一見に如かずといいますが、実際の術後イメージをご覧いただくことで、長々とした説明は必要ないのかもしれません。
インビザライン社が提供する「矯正後スマイルのイメージView作成サービス」は、クリニック啓蒙の一環として、患者さんのスマートフォンで現在の歯並びのスマイル写真を撮ると60秒ほどで矯正後の笑顔イメージが出来上がります。
口腔内スキャナー(iTero)に搭載されている「アウトカムシュミレーター」は、スキャンしたデータをその場で解析し、術後の歯並びイメージを比較できるツールです。
効率的なオンライン診療やSNSの活用
予約を電話やメールで受け付けることが一般的ですが、LINEでやり取りすることも効率的です。スタッフ側は手が空いた時間に対応でき、診療がストップすることはありません。広く患者さんへのインフォメーション、動画説明やご案内も診療前に送信しておけば、チェアタイム削減や言い伝え漏れ防止にも繋がります。
患者さん側も診療時間を気にせず送信でき、小さな疑問や不安があれば大事になる前に問い合わせしやすく細やかなフォローアップが可能です。
さらに、込み入った話や遠隔にお住まいの患者さんへの対面診療が難しい場合はオンライン相談・診療も有効です。
インビザライン社が開発した「マイインビザラインバーチャルケア」アプリには、zoomでコミュニケーションできる機能が搭載されています。
そして、アライナーを交換するタイミングを通知する機能や、毎日の装着時間計測し管理する機能、さらに写真によって進捗確認ができる機能など、患者さんにとって治療へのモチベーションを維持できるツールが多数あり、クリニック側も変化を察知できるようになっています。
迅速で的確な対応が可能に 遠隔モニタリング
「矯正は毎月通うもの」という常識はいまや過去のものとなりました。来院頻度を減らす目的に加えて、歯牙移動とマウスピースのフィットを逐一チェックするために遠隔モニタリングシステムは画期的です。
今回は代表的なフランスのIT医療メーカー(Dental Monitoring社)が展開する「デンタルモニタリングシステム」をご紹介します。
患者さんが自宅などにおいてスマートフォンで撮影した写真や動画をクリニックと共有し進行状況をモニタリングできるというものです。
デンタルモニタリングのアプリをダウンロードして、撮影キットをスマホに装着して撮影します。撮影した画像は、AIによって解析され、歯の移動やマウスピースの浮き状況を検知します。
自宅にいながら経過観察を受けられ、進行状況に合わせてマスピースの交換が行われるため、必要な処置を行うタイミングのみクリニックを訪問します。従来の定期来院より来院回数、頻度がおさえられます。
そしてデンタルモニタリングはわずかな動きも早期発見でき、手遅れになることなく速やかな処置が可能です。写真に書き込みができるツールもついていて、的確な指導もでき、患者さんと相互にやり取りできることもメリットです。
(デンタルモニタリングはワイヤー矯正のシステムも利用できます。)
歯科におけるデジタル技術活用の可能性
オンライン化が一般的になり、パンデミックが一時的に落ち着いた状況になっても患者さん側の利便性は高いと感じるでしょう。対面診療と併用し、オンライン技術を上手く活用することで診療効率アップや治療結果向上も期待できます。
さらに、場所や時間に関係なくマーケットが広がることで、患者さんがクリニックを選びやすいと感じるところもメリットです。
次回(10月25日配信)は、クリニック内のデジタル化|光学口腔内スキャナー(iTero)の活用についてご紹介します。
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