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節税にもなる補助金受給後の会計処理とは

コロナ渦における診療所経営のために用意されている補助金や助成金は多々あります。今回は、“その補助金を受給した場合、会計処理はどうなるのか?”という疑問にフォーカスしたいと思います。

まず補助金は、収益扱いとなります。

そのため、何もしないとその収益には税金がかかります。

仮に、所得税45%・住民税10%の個人事業主の先生の場合は、100万円の補助金を受けてもその年の確定申告では55万円納税しなければならなくなります。

上記は、補助金という収益を全額その年度中に算入した場合の計算です。

一方、「圧縮記帳」という会計処理を用いることで、この収益を数年にわたり平均化することも可能です。

圧縮記帳とは何か

圧縮記帳とは、補助金受給時にかかる税金を将来に繰り延べることができる会計処理のことを指します。

例えば、100万円の補助金を受給し、180万の医療機器(「備品」:耐用年数6年)を購入したとします。

この時の補助金による課税所得は、以下の通りです。

(圧縮記帳を行わない場合(所得税45%・住民税10%の個人事業主の先生の場合))

課税所得:補助金収入100万ー減価償却費30万=70万

納付すべき税金:課税所得70万×税率55%=税金38.5万

(圧縮記帳を行った場合)

補助金を受け取った100万円分、固定資産圧縮損という勘定科目により備品の価値を80万円まで下げることができます。結果的に備品の減価償却費は80/6=約13万となります。

このときの課税所得を考えます。

補助金収入100万ー固定資産圧縮損100万ー減価償却費13万=△13万

課税所得はマイナスとなるため、補助金による税金は発生せず、節税になります。

以上のように圧縮記帳をするか、しないかで補助金受給年度の税金が変わってきます。

「圧縮会計」をやらない方がいい場合

ここまでのことを踏まえると、補助金を受給したときは圧縮記帳を必ずやった方が良いと思われるかもしれませんが、不適な場合もあります。

それは、補助金受給年度以降(~備品の法定年数まで)の収益が高いことが見込まれており、かつ、その収益により所得税率が変わる見込みがある場合です。

なぜなら、「固定資産圧縮損」で収益を減らすと、その分だけ毎年の減価償却費は減ってしまうため、のせられる経費の金額は下がります。

診療所の収益の金額によっては、課税所得における税率のボーダーが切り替わると、経費で課税所得を下げる方がお得になる場合もあります。

以上のことより、補助金を受給した年だけでなく、翌年以降の財務諸表の予想を考えつつ、会計処理をするのが良いと思います。

ご参考になれば幸いです。

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