治療中断や予約キャンセルを減らすために通院回数に応じた声掛けがポイント!行動経済学から考える医療経営|集患ラボ
診療所経営を行動経済学で考える「集患ラボ」。
行動経済学とは経済学と心理学の視点を組み合わせて考える学問で、最近の消費者行動において注目されています。「集患ラボ」では、この行動経済学を、日々の診療所経営の中で、どう活用できるのかについてお話しています。
今回は「解釈レベル理論」をご紹介します。
この記事の内容は動画でもご覧いただけます。動画のリンクは記事の最後にありますので、ご活用ください。
解釈レベル理論とは
今回ご紹介する「解釈レベル理論」とは、物事に対して、心理的距離がある場合には、抽象的に捉え、近い場合には、具体的に捉える。こうした解釈レベルの違いによって、選択に影響を与えるというものです。
例えば
高次解釈:将来へのモチベーション
低次解釈:現在の欲求
将来のために勉強しようという将来のモチベーションと、漫画が読みたいという現在の欲求があるとします。差し引いたときに、プラスであれば、勉強をするという行動になります。一方で、現在の欲求が強くなったり、将来望むことが少なくなったりして、差し引いたときにマイナスになると、漫画を読むという行動になるのです。
解釈は時間が経つと変化していくことから、行動の選択も変わってくるのです。
この理論を説明する上で、マリッジブルーも一例になります。
プロポーズされたときは、ステキな人と、よい家庭を築こうと気持ちが高ぶりますが、結婚準備を進める中で、独身時代も捨てがたいと思うなど、モチベーションが下がり、あるとき、高次解釈と低次解釈がプラスマイナス0になると、マリッジブルーになるのです。
時間とともにモチベーションや日ごろの欲求が変化する中で、常に将来のモチベーションを高めていくことが必要になってくるのではないでしょうか。
解釈レベル理論 医療経営への応用
では、この解釈レベル理論を診療所経営でどのように応用できるのでしょうか。
歯科医院だと、継続して定期健診に来てもらうという点が一つポイントになるかと思います。例えば、「将来もずっと自分の歯で噛めるということはもちろん、大好きな旅行先で、各地の美味しいものを食べてみませんか」ということも、モチベーションを上げる一つの声かけになるかと思います。
将来こんないいことがあるという良い面と、痛い思いをしたのでもう二度と、こんな思いをしたくないというリスクの面があると思います。これらを含めて将来の「得」を考えてもらうことでモチベーションアップに繋がるのです。
これは、矯正や整形外科のリハビリなどにも当てはまるのではないでしょうか。
時間が経つと、モチベーションが低下し、多くの場合はネガティブな方に進んでしまい、継続せず離脱してしまいます。
医療においては、治療や通院を前向きに継続してもらうことが大切になります。離脱を減らし、継続してもらうためにも、モチベーションという観点が大きなポイントになるのです。
患者さんのモチベーション管理のためにすべきことは?
では、継続して通院してもらうためには、どうすればよいのでしょうか。カギとなるのは、定期的なモチベーション管理です。
「こんな生活を送りたいですよね」などと将来へのポジティブなモチベーション管理をされている診療所が多くなってきました。一方で、定期的なカウンセリングを診療システムの中に入れている診療所はまだ少ないように思います。
今回、行動経済学に結び付けてオススメしたいことは、長期でリハビリを受けられる患者さんなどに対して、継続的に、定期的なモチベーション管理をするためのカウンセリングの時間を短時間でもとるということです。
「その後、状態はどうですか?」という医療(体にかかわる事)だけでなく、モチベーション(心にかかわる事)にもアプローチすることが大切だと考えています。心の管理をする時間を持っていただき、未来の「得」の部分を再確認できる時間にしていただければと思います。
定期的に、モチベーションを管理するカウンセリングを入れていただいて、離脱を減らし、継続して通院してもらうことで、よりよい医療経営に繋がるのではないでしょうか。
ご参考にしてください。
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