書きやすくなるヒヤリハット報告を活用してより良い医療経営を 報告しやすい環境づくりとは?|院長Q&A
開業している院長からのご質問にお答えする院長Q&A。今回は「ヒヤリハット報告書を増やす方法はない?」というご質問をいただきましたので、やり方と心理的な安全性を加味した活用方法について3つのポイントに分けてお話します。
目次
ポイント①報告するカテゴリーの周知を
ヒヤリハット報告書をどうやって出したらよいのか、どういう場面で出したらいいのか分からず、職員のみなさんが出しづらいと感じていることもあると思います。
そこでまずオススメしたいのが、報告書に関するカテゴリーを周知しておくことです。
報告するカテゴリーは、「医療」と「業務」の大きく2つに分けます。そして、それぞれにインシデント(事故に至らなかった出来事)とアクシデント(起きてしまった事故)があり、全部で以下のように4つのカテゴリーに分けることができます。
医療 | 業務 | |
インシデント | ||
アクシデント |
「実際に事故は起きなかったが、起きていたら大変だった」というインシデントを共有することで、アクシデントを未然に防ぐことが本来のヒヤリハット報告書の役割です。インシデント報告書が多く集まることで、ケーススタディとして蓄積でき、事業や運営のクオリティを上げることにも繋がるのです。
現状では、アクシデント報告書が多いのではないかと思いますが、報告カテゴリーは4つあるということ、そして本来はインシデントを多く知ることでアクシデントを減らす目的があるということを職員のみなさんに伝えてもらうことが重要だと思います。
ポイント②分かりやすいレポート様式を
ヒヤリハット報告がよく分からないという理由の一つに「レポートの様式が分かりづらい」ということがあります。レポート様式を極力簡単にすることも大切です。
例えば、エクセルやスプレッドシートに6W1Hが書かれていて、インシデントかアクシデントか、そしてその事柄が起きないようにするための具体的な対策案、アイデアを書く欄などシンプルな様式がよいと思います。
『対策案』としたのは、レポートを書く人が、起こらないようにするための具体的な対策まで考えないといけないのは荷が重いですし、新人だとそもそも分からないということもあります。あくまでも『対策案』として重荷にならないようにするというところがポイントです。
そして、レポートの様式には、記入例をつけておくことも重要です。記入例があるのと無いのとでは書き方が大きく変わります。記入例や過去に提出された報告書を参考に書けるという環境をぜひ作っていただければと思います。
ポイント③安心して活用できる工夫を
「報告書を書いたけれど、活用されていなかった」という、いわゆるフィードバックが無い状態では承認欲求が満たされず、「やるだけ無駄だ」という雰囲気になりかねません。報告書が出されたら必ず、活用することが重要です。
では、どのように活用すればよいのでしょうか。
まず、書いてもらったレポートを全員に周知します。報告書はデジタル管理できる形にするとよいかと思います。それをPDFなどにしてLINEやチャットワークなどデジタル媒体を使って周知します。いまは多様な働き方が増えていて、パート職員が多いという職場もあるかと思います。知らなかったということが起きないように、全員に周知できる媒体で浸透させることがポイントです。
その上で、職員みんなで対策を検討します。書いた本人だけでなく、様々な立場や知識を持つ人たちが対策を検討することがとても重要なのです。ヒヤリハット委員会のような形で、具体例を決めていくのも一つの手です。
報告書に記入してもらったアイデアレベルのものから、マニュアルレベルに落とし込むのは、院長を含め職員みんなで進めていくことが大切なのです。
「みんなで考えてくれるんだ」ということは安心感に繋がり、アイデアを出しやすい雰囲気を作れるのではないでしょうか。対策を検討をしたら、それをまた周知してみてください。
人事評価に対する考え方の周知も
そして最後に、プラスαとして、「ヒヤリハット報告書自体は人事評価に影響を与えない」ということを伝えた方がよいと思います。人は誰でもミスをすることがあります。こうすることで、ヒヤリハット報告書を書くこと自体がマイナスではないと位置づけられ、少しは気持ちが楽になるかもしれません。
一方で、同じことを繰り返すことは、仕事への姿勢に関わる部分なので、何回も繰り返すことについては評価に影響するということも明確にしておくとよいと思います。
この2つの評価の扱いについては、分けてお話していただければと思います
それでも人は自分のミスを話すことに抵抗があります。そこで特にインシデント報告が多くあった場合は、プラスの報酬を出すことも一案かと思います。例えば「インシデント報告が10個になったら、みんなでケーキ食べよう」など、「たくさん発見があった」とプラスに転換していく工夫をしてみてはいかがでしょうか。
優秀なピッチャーでも打たれることはあります。そこをチームでフォローしていくことが大切だというスタンスを組織の中で共有していただければと思います。ご参考にしてください。
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