後からは変えられない間取り設計。患者満足度と従業員の作業効率を上げるために、理想の間取りにたどり着くためにしておきたい事とは?|開業Q&A
先生方から寄せられた開業に関する質問に「今の時代ならどうするか?」という視点でお答えする連載「開業Q&A」。開業を検討している先生、今まさに開業準備中の先生に見ていただきたい内容となっています。
弊社は開業後のコンサルティング案件が多いため、開業準備の際に想定していたことが、実際にどうなったのかというノウハウがありますので、開業された先生方が開業準備でやっておいて良かったと感じていることなどをお伝えできればと思います。
今回は「間取りは何を参考にしたらいいの?」という質問をいただきましたので、弊社の開業コンサルとして大切にしていることを踏まえて、お答えしていきます。
メイン診療の効率化
開業時、新築で間取りを考える際に参考にすると良いと思うものを紹介します。
まず医療は安心安全が大前提ですが、さらに経営上の効率も持ち合わせた間取りを考える必要があります。医療は保険点数で売上単価が決まっているので、先生の医療の質を上げたまま、いかに回転数を上げるかが医療経済的な点で重要なことになります。そのため効率化が非常に大切です。ここでいう効率化とは、患者さんが滞らないことと医療者の動線の効率化です。
まず、患者さんが滞らないこととは、患者さんが一か所に集中しないということです。例えば検査して待合室に戻る、診察して待合室に戻るという流れでは、患者さんが待合室に溜まってしまいます。特にコロナ禍では、一か所に患者さんが溜まることは、避けたい点でもあります。逆に患者さんが一連の流れにそって動き、検査室や処置室など各々の部屋付近に待つスペースが設けられていれば、患者さんが滞りません。患者さんが分散されることで密も避けられますし、患者さんが「待った」という感覚が薄れるという点がとても大きなメリットです。
もう一つは職員の動線です。物を運ぶ、伝えに行くという職員の動線がスムーズかつ二度手間にならないということが重要です。あとは水場です。歯科の場合、消毒滅菌コーナーが広くて高効率なところは上手くいっています。逆に水場の利便性を後回しにしてしまった先生は後悔されている場合が多いです。内科、耳鼻科、整形外科などは、手を洗う場所や収納が手近にあることが開業後に重要だという話をよく聞きます。
さらに、物はどんどん増えていきますから目隠し収納はいろいろなところに作ると良いでしょう。スタッフルームや天井など空いているスペースは作り付けの棚などで、収納場所の確保をしっかりするのが良いと思います。
見学の数が将来を変える
これから経営者となる先生方にとって、アイディアを得るための見学は多ければ多いほど良いです。今まで疎遠だった先輩たちに開業したクリニックを見せていただくことは非常に重要です。見学させていただくために頭を下げるのは気まずいかもしれませんが、ぜひ3~5件は見学に行かれることをおすすめします。さらに診療時間内に見させてもらうことで動線を客観的に冷静に確認することができます。そして昼休憩にはスタッフさんの院長には言えない本音を聞きだせるかもしれませんし、スタッフが働きやすい間取りを考える参考にもなるでしょう。一時の恥は一生の楽です。ぜひ見学していただければと思います。開業がまだ3年後という先生でも今から見学は始めても良いと思います。「自分が開業するならどんな間取りにするだとう?」と考えながら見学することで、いろいろなアイディアが生まれてきますし、院長から直接意見をいただけると思います。
美容院と飲食店を参考に
美容院と飲食店(カフェなど)はサービスという点で多くの工夫がされています。例えば美容院は、一つの面積の中にいろいろな人がいる中で、安心安全かつ他の人の視線が気にならないような配置で収納もたくさんあり、掃除道具入れなど隠れ収納の工夫がたくさんあります。
また流行っている飲食店の中でもスターバックスなどの滞在型(長く居座っても良いところ)はサービス面で学べるところが多いです。例えば、コンセントもUSBが挿せるようになっていたり、Wi-Fiの繋がり方や椅子の座り心地の良さなどを見てくると良いかもしれません。他にも、ランチで繁盛しているような飲食店には回転率を上げるためのヒントがたくさん転がっています。流行っているところには理由がありますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
ぜひご参考にしてください。
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