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現役CAが安全とサービスを叶えるために使う「クッションことば」が医療現場でも活用できそう。|他業種のノウハウを医療へ

接客業などに携わる人たちに聞く診療所でも役立つコミュニケーション術の特集。今回は、10年間、客室乗務員をされている大空花子さん(仮名)にお話しを伺いました。

大空さんは、国内線、外資系航空会社、そして国際線でのご経験があり、 客室を統括するチーフパーサーの資格もお持ちでいらっしゃいます。

ハイレベルな接客をされている客室乗務員の方に、よりよい「おもてなし」をするために意識していることを伺いました。

そこには、患者さんとの関係性を高めるヒントがありました。ぜひ参考にしてください。

相手をよく見て言葉遣いも意識 気持ちに寄り添う対応を

接客をする上で欠かせないのは「おもてなしの心で対応すること」だと大空さんは話します。

「限られた空間・時間の中で、お客様に快適に過ごしていただけるように常に最善を尽くすよう努めている」と言い、そのために、利用客の表情や動作、嗜好などをよく観察しているということです。

これはまさに、院内に滞在する患者さんにも共通する部分だと感じました。

満足度を上げるために、利用客の注文や要望に対して的確に対応する力や、トラブルが発生した際に瞬時に判断して臨機応変に対応する力も求められるといいます。

大空さんは、「お客様を家族や大切な人だと思って接する」ように、お客様の気持ちに寄り添った対応を心掛けていると話します。

例えば、シートベルトを外している人に対して、「シートベルトを着用してください」と頭ごなしに言うのではなく、「気流の関係で突然揺れることがあるので、お客様の安全のためにシートベルトの着用をお願いします」とお声かけをしているそうです。

さらに、「ご存知かと思いますが/ご存知かもしれませんが」というクッション言葉を使い、より丁寧な案内ができるよう、言われて嫌な気持ちにならないような声かけを意識しているということです。

「お客様を家族や大切な人だと思って接する」こうした言葉は院内で職員のみなさんと共有できる素敵なキャッチフレーズや目標になりやすいのではないでしょうか。

患者さんに対しても相手へのメリットを嫌味なく伝える技術は応用が利くように思います。

相手にお願いをする際や言いづらいことを伝える場合などに、本題の前に一言添える「クッション言葉」があるだけで印象が違いますね。

また、お待たせしてしまう時には「少々お待ちください」ではなく、「すぐに参ります/すぐに伺います」というようにポジティブな言葉を使うようにしたり、具体的に「〇分程お待ちいただけますか?」と言ったりと言葉遣いも意識しているそうです。

待ち時間は、診療所経営において上位に上がってくる課題でもあります。少しでも患者さんが感じる待ち時間を減らすためにも、すぐに活用できるお声かけのように思います。

よりよい関係性へ 同僚にもクッション言葉を活用

同僚に対しても、クッション言葉を活用した会話をしている大空さん。

例えば、何かして欲しいことがあった時には、いきなり「〜をしてください」と言うのではなく、「〇〇さん、いまお手すきですか?」や「いまよろしいですか?」など確認した上で、「〜していただけませんか?」「〜お願いできますか?」と頼むようにしているそうです。急ぎの場合には、「もしお手すきでしたら、〜していただけませんか?」と確認を省略することもあるということですが、こうしたクッション言葉を使うことで、言われた側も快く対応でき、円滑なコミュニケーションに繋がっているのではないかと感じているそうです。

総じて言えることは「品がよい言葉遣い」を選択されているところだと思います。これは元々備わっているものではなく、職場で学び、統一された言葉遣いが生み出す上品さかもしれません。

院内においても使う言葉遣いを職員同士で統一してみるのも、よい職場の風土を作り上げることに繋がるかと思います。

相手に対して思いやりの気持ちと関心を持って

良いコミュニケーションをとるためには、誰に対しても思いやりの気持ちと相手に関心を持つことが大切だと大空さんは考えています。

そんな大空さんから診療所での活用できるコミュニケーション術を伺いました。

1つ目は、診療所がよりよい雰囲気、よい環境になるためには、同僚に対して自分の意見を押し付けるのではなく、相手はどう思っているのかを考えて発言するということです。

一呼吸おいて相手の思いをイメージしてから話を始めたり、また話し終えたら「あなたはどう思う?」と質問することをセットにするのも良いかもしれません。

2つ目は、患者さんに対しては不安な気持ちに寄り添った声かけをすることです。

具体的には「自分がされたら嬉しいと思う対応」をイメージして行動することです。

時には職員同士で、自分がされたら嬉しい対応についてディスカッションをする時間を設けるのも良いかもしれません。

IGYOULAB編集部より

今回は大空さんに

・表情や動作の観察
・クッション言葉

などについてお話ししていただきました。

診療所でも様々な患者さんがいる中で、患者さんが何を求めているのか、いま声かけが必要なのか、そうでないのか、など対応も異なってくるかと思います。

それぞれの人にあった接遇をするためにも、まずは患者さんの表情や動きを見ることが大切なのかもしれません。

忙しい状況だと、患者さんに目を向けず話してしまったり、説明したりしてしまうこともあるかもしれません。追われているときほど、相手に向き合う意識を持って接していきたいですね。

そして「クッション言葉」。これは角が立たず、相手への思いやりも伝わります。

同僚に対しては、言いにくいことを伝えなければならない場面も出てくると思います。そんなときに、本題に入る前に一言添えるだけで、よい関係性を築けるのではないでしょうか。

言い方によって印象や相手の受け止め方が変わってきます。

顔が見えない電話での対応時には、特に言葉の印象が強く伝わるのではないでしょうか。

相手のことを思いやりながら、言葉を選んでいく、そして、自分に置き換えて、されたら嬉しい対応や言葉遣いをしていく。その積み重ねが印象アップやよい関係性の構築に繋がっていくのかもしれません。

そして最後に、こうした思いやりや配慮のある言葉遣いは意識していきなりできるものではないと感じました。

客室乗務員の業界では職場のコミュニケーション研修として何度も定型文を学んだり、どのような対応がよいか?などを話し合ったりする場が多く設けられています。そのトレーニングやテストの多さでも有名な業界でもあります。

トレーニングした分だけ、それが社風となり、いざという時に人の命を守れる安全性を維持できるのだと思います。

どの業界でも、意識するだけでは、すぐに実践に繋げることは難しいのではないでしょうか。皆さんで話したり、トレーニングしたりする場が大切なのではと感じました。

ぜひ、ご参考にしていただければ幸いです。

著者:IGYOULAB編集部(イギョウラボ)

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