声のみで信頼を勝ち得るためには|情報の正確性を重視
接客業に携わる人たちに聞く診療所でも役立つコミュニケーション術の特集。今回は、銀行のカスタマーセンターで電話の受付を10年以上担当されている Nini さん(仮名)に伺いました。
診療所でも新規の患者さんの問い合わせや予約だけでなく、通院している患者さんの質問の受付など、電話で対応する場面も多いのではないでしょうか。
直接対面するコミュニケーションとは異なり、電話は声のみで、顔が見えない分、難しい点もあると思います。声だけで信頼を得るために、そして患者さんの満足度を上げるためにどんなことが大切なのでしょうか。ぜひ参考にしてください。
顔が見えない人と声だけで対応 大切にしていることとは
カスタマーセンターやコールセンターは顔が見えない分、対応に苦慮するお客さんもいるといい、 Nini さんは自身の職業について「いくら理不尽な事を言われても謝罪するしか無く、メンタルが強くないと大変だ」と話します。
カスタマーセンターでのスキルは回数を重ねないと身につかないため、長期に続けることは大変だが仕事を続けるうちに仲間の連帯感が自然にできている職場だといいます。
顔が見えない相手と声だけで対応するこの仕事。Nini さんが仕事をする上で大切にしていることは「情報の正確性」です。
銀行業務はお金が絡む話が多く、平常時の対応はさることながら、特にクレーム対応などでは、情報の正確性が最も重要だと Nini さんは話します。
また、クレーム案件に多く対応している Nini さんは、最後まで納得してもらえない案件の方が多いため「電話を切ったら忘れることも乗り越え方の一つ」だと、気持ちの切り替えも大切だと言います。
職場で大切にしていることとは
銀行などの利用客の困り事や質問を電話で受け付ける Nini さんの仕事。風通しのよさや、報告・連絡・相談の「報・連・相」を重視していると言います。特異な案件は全体にフィードバックし、よりよいサービスの提供のために、従業員同士で共有しているということです。
ともに働く人たちと、よい関係性を築くために、「社内では働く人たちの悪口を言わない」ことを意識しているそうです。
一方で、仲間とうまくやっていこうと無理に考えすぎるのではなく、仕事をきちんとこなすことでできる人脈や関係性がよいのではとNini さんは考えています。
患者さんにも同僚に対しても大切にしたい「適度な距離感」
Nini さんからのよりよいコミュニケーションをする上でのアドバイスは、「適度な距離感」です。
長時間ともに働く職員同士であれば、例えば、休憩時間中など過剰な関わりが負担となってしまう人もいるため、ほどよい距離感をとって接することも大切なのではと話します。
患者さんに対しても、体調が悪くて来院している場合は、必要以上のコミュニケーションはとらず、一方で、不安そうにしている人には、ちょっとしたお声かけ、そしてお帰りになる際に体調への気遣いの一言も大切になるのではと言います。
IGYOULAB編集部より
今回は Nini さんに
・情報の正確性
・適度な距離感
について伺いました。
「情報の正確性」については、正確な情報を伝えるということは、患者さんとの信頼関係を築くためにも欠かせないことです。
患者さんが何を言っているのか、何を求めているかなど、正確に相手のニーズを把握して受け止め、それを先生や同僚にいかに正しく伝えられるか、診療所でも大切なことではないでしょうか。
「私はこう思っていたのに相手の受け止め方が違っていた」「先日話したのに伝わっていない」などと自分と相手の間に理解に差があったという経験がある人もいらっしゃるかと思います。
患者さんや同僚に対する配慮や「こうした方がよいのでは」などといった思い込みは切り離し、正確な情報やニーズ把握が大切だと感じます。患者さんに対する、必要に応じた声かけを行うためにも、相手の状況を正しく見極める力も大切になってきますね。
そして「適度な距離感」に関しては、「親しき仲にも礼儀あり」という言葉があるように、職員同士でも様々な考え方の人たちがいるということを踏まえた上で、接していくことが大切なのではないでしょうか。
仲が良すぎる職場、関係性があまり良くない職場も、適度な距離感を維持することで、ほどよい関係性になることがあります。近すぎず、離れすぎず、あくまでも職場という意識を忘れず、距離の取り方を考えてみたいですね。
今回、Niniさんに伺った「情報の正確性」と「適度な距離感」。
ぜひご参考にしてください。