診療所経営にも役立つハロー効果とは?|行動経済学
経済学や心理学を合わせて考える「行動経済学」。消費者の行動を研究する学問です。
今回は、行動経済学の『ハロー効果』をご紹介します。マーケティングなどにおいても活用されていて、診療所経営にも活かせる方法を考えていきたいと思います。
行動経済学のハロー効果とは?
「ハロー」には「後光」という意味合いがあります。
ハロー効果とは、「目立つ特徴が、物事の評価に影響を与えやすい」ということを指し、マーケティングなどにおいても、ポジティブな評価に働くよう活用されています。
例えば、人気の有名人が出演することの多いテレビコマーシャル。
出ている人が同世代の人だと共感しやすく、「この人が使っているなら、多くの人が利用しているのかも、私も買おう」という心理が働くことを狙っています。
これがハロー効果です。
「一人(一つ)の意見は、みんなの意見に思える」という心理を活用していこうというものです。
それでは、診療所経営にどう活かしていくのか、何を活用してハロー効果を生み出していけるのか、今回は3つ例を挙げてみました。
①患者さんの声
一番わかりやすいのは、患者さんの声です。
ここで注意しなければならないのが、院外に発信する際は、内容によっては、医療広告ガイドラインに抵触し違法となってしまうことがあるということです。
ただ、医療広告ガイドラインにおいて、患者さんの声を掲載・発信してはならないということではありません。 一定の条件下では、広告に掲載できる事項の限定解除が認められることが定められています。
例えば、
・症例をメリットとデメリットを公平性を保って共に表記する
・一部を切り取って、あたかもメリットしかないように表現せず、しっかりと経緯などを明記する などです。
一方で、院内掲示や、患者さんに直接渡す手紙や院内広報などは、医療広告ガイドラインの対象となりません。つまり、医療広告ガイドラインを厳守しないといけないのは、院外に発信するとき、不特定多数に発信するときです。
院内では、すでに来院している患者さんに対しての情報提供のため、発信できる情報の幅が広いことを意味しています。
院内掲示物に
・ある患者さんの症例紹介
・患者さんからの感想
・治療事例紹介
などを掲載すると
来院した同世代の患者さんは共感しやすく、一人の患者さんの意見が多数の人の意見に思えてくる、という心理が働くのです。
患者さんの声を発信することで、治療などに関する情報の周知だけでなく、患者さんの安心にも繋がるなど、効果は高いと思います。
②実写の看板・ポスター
ポスターなどで、元気でハツラツとした高齢者の写真をみると「こんな風になれるんだ」とよい印象を受けたことはありませんか。これもハロー効果です。
自分と似たような人が言っていることに人は共感しやすいため、ポスターなどを作成する際には、イラストよりも写真などの実写を使った方が効果が高いように思います。
③学歴、経歴、肩書き
人は、学歴や経歴、肩書きに影響されやすい、これもハロー効果です。
「〇〇学会所属、〇〇研究会所属」といった肩書きや「大病院の部長」といった経歴などを発信することも、患者さんが好印象を持つことに繋がるのではないでしょうか。
前述した通り、院外に発信するものは書ける事柄が限られてしまいますが、院内であれば「〇〇の勉強会に参加しました」などといったことも発信できるため、ハロー効果を有効活用できると考えています。
いずれの事柄も誇大表現などには十分注意した上で、行動経済学の「ハロー効果」を活かして、医療マーケティング、患者満足度アップや集患、認知度アップなどに繋げていただければと思います。
詳しくはこちらの動画をご覧ください。