開業までに自己資金はいくら必要か?それとも必要ないのか?実際に起きたリスクから税理士視点では無い部分も参考に|開業Q&A
先生方から寄せられた開業に関する質問に「今の時代ならどうするか?」という視点でお答えする連載「開業Q&A」。開業を検討している先生や開業準備中の先生に見ていただきたい内容となっています。
こちらの記事の内容は動画でもご覧いただけます。動画は記事の最後にリンクがありますので、ぜひご活用ください。
自己資金は開業資金として使用したほうがよいのか?
今回は「自己資金はどれくらい用意したらよいか」という質問をいただきましたので、私なりの考えをお伝えできればと思います。
主に次のような自己資金を考えるタイミングがあるかと思います。
・開業を意識したとき
・借入金額が決まったとき、自己資金を投入すべきか否かを判断するタイミング
IGYOULABを運営しているトゥモロー&コンサルティングでは、多くの開業相談をさせていただいています。その際に、借入金額の中でできることを考える先生に出会うことが多いです。借入金額の中でコストパフォーマンスのよいことを行っていくというのは、立派な事業戦略かと思います。
ただ、私は、「やりたい医療を明確にし、それにどれくらいお金がかかるのかを試算してください」ということをお伝えしています。
自分の人生を豊かにするために開業されるかと思います。やりたい医療が実現できる開業医人生を歩むことを望まれているのではないでしょうか。そのためには、やりたい医療を行うためには、どれくらい金額がかかるのかを把握しておくことが大切なのです。
まずは自己資金を使わず開業する戦略を
開業相談をさせていただく中で、まず自己資金を使わず開業する戦略を考えています。なぜなら、過去に家庭の事情で、先生方が急にお金が必要になったというケースがありました。
銀行で借り入れる際、用途を決め、それを銀行が認めて借り入れるという流れになります。事業資金を借り入れた場合、事業以外で使うことは認められていないことが多いです。個人的に必要になったからといって、使用用途に入っていないことに使ってしまうと信用が下がってしまうことにも繋がります。
プライベートで突然お金が必要になることもあります。こうしたことからも、プライベートで貯めたお金は私的な使用のために残しておくことをオススメしています。先生の人生を豊かに、先生のご家族の人生を豊かにするために開業されるかと思いますので、なるべくリスクを取らない方がよいと考えています。
リスクヘッジした上で自己資金投入も
例えば、やりたい医療に1億円がかかると試算します。銀行と交渉した結果、7000万円の借入金額だったとします。7000万円の中でやりくりするという戦略もあります。
もしくは、やりたい医療にこだわるために3000万円を自己資金で準備することも選択の一つです。その際には、しっかり返済できるか、そしてプライベートで万が一の事態が発生したときにも対応できるリスクヘッジは欠かせません。
一方で、返済期間を短くするために、借入金額を抑え、5000万円を借り入れ、2000万円は自己資金で投入するという方法も選択肢の一つかと思います。
やりたい医療を叶えられる借入金額を目指す
自己資金を投入することも一つですが、その前に、やりたい医療が叶えられる借り入れができるように戦略を立てることを提案させていただくことがあります。
具体的な戦略を明示することで、借入金額が増額されたケースがあります。例えば、週に1回、別の先生に来てもらうということは増額に繋がります。また、より具体的な戦略があることも大きなポイントになります。例えばどのような保険点数戦略を考えているのか、どのように集患していくのか、離職がおきない採用体制や教育体制など、具体的にプレゼンテーションすることで借入金額が上がった事例が何件かありました。
やりたい医療を叶えるための大きな借り入れはリスクだと思われるかもしれませんが、戦略が無い中では当然リスクになりますが、戦略性があり、返せる見込みがあれば、やりたい医療の実現を目指していただくことをオススメしています。
今回の「自己資金はどれくらい用意したらよいか」というご質問に対して、「やりたい医療のためにいくらかかるか、まずは試算してみてください」とお伝えしたいと思います。そして、銀行と借入金額を交渉するときには、具体的な戦略をプレゼンすることを、プライベートで貯めたお金は、リスクヘッジとして、持っていただくこともオススメしています。
ご参考にしてください。
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