「断れる技術」を身に付けると職場で活躍しやすくなる!
「ノー」と言えずに患者さん対応を無理したり、院内勉強会やイベントへ無理して参加したりしている職員は、いずれストレスが溜まり職場に不満が無くても離職することもあります。
無理せず適度な向上心をもって仕事ができるように、院長から職員へ「断れる技術」(本記事)をご活用いただければと思います。
コミュニケーションのパターンは性格ではなく技術
働く上で、相手の要求や依頼に対して、「いいえ」「できません」と率直に断ることが出来ずに、困った経験はありませんか。断っては相手に悪い、相手が気持ちを害するのでは、自分に能力がないと思われるのでは。そう思って、「ノー」の言葉を飲み込んだり、曖昧な返事でごまかしてしまったり、その結果、仕事を抱え込んでしまって後悔することもあるでしょう。
人はそれぞれ育つ過程で、その人特有のコミュニケーションパターンを身につけます。そのコミュニケーションパターンは「性格」ではなく「技術」であり、トレーニングで変えられるものなのです。自分の気持ちや意見を、相手の権利を侵害することなく、誠実に、率直に、対等に表現することをアサーティブコミュニケーションといいます。
断れないことで起きる問題とは
「ノー」と言いたい正直な気持ちにふたをして「イエス」と答えてしまうと、「ノー」と言いたかった気持ちは、何らかの形で出てきます。
例えば、気が進まないイベントの直前に頭痛や胃痛が始まり、欠席する理由ができてよかったとホッとするなど。身体が間接的に「ノー」と言っているのです。
また、相手が来ると言って来なかったり、やるといって引き受けてくれた仕事を最後になって放り出されて腹が立ったりして失望したことはありませんか。
「最初から断ってくれれば、問題も少なかったのに」
このような、遠回しの「ノー」は、かえって相手の信頼を傷つけるのです。
「イエス」「ノー」がはっきりしていると、付き合う方も気が楽です。また、仕事を引き受けすぎて燃え尽きてしまい、結果として周りに迷惑をかけるのを防ぐこともできるでしょう。
職場でよくある「断れない」ケース
職場の上司から「参加しませんか」と、あるセミナーの誘いを受けました。無理をすれば参加できますが、予定が立て込んでいてスケジュール調整が難しい状況です。みなさんなら、どのように対応しますか?
▼「時期的に忙しいので、無理ですね」と一方的に断る。
▼「そうですか、おもしろそうですね。いつですか?」と相手に合わせ、結局行く羽目になる。
▼「この忙しい時期に出かけると、家で何て言われるか分からないので」と言って遠回しに断る。
「相手も・自分も大切にする」アサーティブな断り方
具体的なポイントに沿って解説していきます。
「誘っていただき嬉しいです。ありがとうございます。(ポイント⑤)
ここ2カ月間は、スケジュールの調整が大変難しい状況なので、申し訳ありませんが、
今回はお断りさせて下さい。(ポイント①②③)
2カ月後でしたらぜひ参加したいので、またお声おかけ下さい。(ポイント④⑥)」
<アサーティブにノーと伝えるポイント>
①何に対してノーなのか、断る的を絞る
(出来ないことのラインを決める=どこまで出来るか示す)
②断る理由は簡潔に率直に(理由が長いと、言い訳がましくなる)
③最後まではっきりと意思を伝える(語尾まではっきりと)
④自分はどうしたいのか、代替案を提示する
⑤相手の立場を理解して、気持ちを受け止める
(自己主張のみではNG、相手理解も大切に)
⑥相手を否定しない。伝えるのは自分の気持ち
⑦ボディランゲージに気をつける(誠実さや真剣さを態度に出す)
⑧その場で答えを出す必要はない(気持ちが決まらなければ、時間や判断材料をもらう)
⑨身体は答えを知っている(断りたい気持ちの時は自然と体が硬くなる、顔がこわばる)
⑩立ち去る、話題を変える(相手への後ろめたさや同情から、その場をウロウロしない)
断っている対象は「要求」であって、「相手」そのものではないことを意識しましょう。今後もよりよい人間関係を続けたいからこそ言うべき「ノー」があります。
いかがでしたでしょうか。アサーティブコミュニケーションの知識を得ることで、職場での円滑なコミュニケーションに繋がります。より良い職場の人間関係構築にお役立てください。
次回は、批判への適切な対処について職場での事例をもとにお話しします。
次回の配信は12月22日です。