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医療ミスは誰の責任になる?医師本人?院長?|診療所のトラブルQ&A #12

診療所でのトラブルに関する質問に、本山総合法律事務所代表の宇佐美芳樹弁護士にお答えいただく連載。今回は「医療ミスは誰の責任になるのでしょうか。診療所には管理者が設定されていますが、勤務医Aが起こした医療ミスは、本人である勤務医Aまたは管理者(多くの場合院長兼務)、それとも管理者ではないが実質的な院長、また法人の場合は経営者となる理事長か、誰が責任を取るのでしょうか?」というご質問にお答えいただきます。

医療ミスは不法行為

医療ミスが発生した場合、誰が責任を負うのでしょうか。まず、医療ミスは不法行為にあたりますので、医療ミスにより患者さんに損害が発生した場合には、当然、医療ミスを行った勤務医は不法行為に基づく損害賠償責任を負います。

民法で定める「使用者責任」

次に、民法715条において「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」という使用者責任の規定を定めています。

ここにいう「ある事業のために他人を使用する者」とは、法人の場合は勤務医を雇用している医療法人、個人の場合は勤務医を雇用している院長がこれに当たります。  

そして、勤務医の診療行為は当然「その事業の執行について」行われたものに該当しますので、勤務医が医療ミスを起こした場合、医療法人もしくは院長も民法715条の使用者責任に基づき損害賠償責任を負います。

実際、弁護士が医療ミスについて損害賠償を求める場合には、ミスをした医師と雇用している医療法人(もしくは院長)を一緒に訴えることが通常です。

連帯責任にともなう求償可能

この場合、勤務医と医療法人(もしくは院長)は連帯責任を負いますので、患者さんはどちらに対しても全額の賠償を求めることができます。

医療法人(もしくは院長)が賠償した場合には、民法715条3項に「使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない」と規定されている通り、医療法人(もしくは院長)はミスをした勤務医に対して求償することができます。

ただし、求償できるのは医療法人(もしくは院長)が支払った賠償額の一部にとどまります。これは、使用者責任が、使用者は被用者を利用して利益を上げ、事業範囲を拡張している以上、被用者が第三者に損害を与えた場合には損害も負担することが公平であるという考え方に基づいて定められている規定だからです。

そのため、逆にミスをした勤務医が賠償した場合には、勤務医が医療法人(もしくは院長)に対して、一部の負担を求めて求償することも可能です。

選任監督の担当者も問われる責任

なお、民法715条2項には「使用者に代わって事業を監督する者」も責任を負うと定められています。

この「使用者に代わって事業を監督する者」とは、現実に被用者の選任監督を担当していた者を指しますので、理事長や管理者だからといって直ちに責任を問われるわけではありませんが、現実に理事長や管理者が選任監督を担当していた場合には法人の理事長や管理者も使用者である医療法人(もしくは医院長)と同様に責任を問われることになります。 

著者:宇佐美 芳樹

本山総合法律事務所代表弁護士。愛知県弁護士会所属。

労務管理、労働トラブルの解決、債権回収、クレーマー対応、契約書のリーガルチェックなどの企業法務を中心に、離婚、相続、交通事故まで広く民事商事全般を取り扱う。クライアントの声に耳を傾け、粘り強く最良の解決方法を探っていくことを信条とする。

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