工期や納品遅れ。開業日までに準備が不十分。こんな時は遅らせるべき?この視点で開業時期を考えるのはどうでしょうか?|開業Q&A
先生方から寄せられた開業に関する質問に「今の時代ならどうするか?」という視点でお答えする連載「開業Q&A」。
弊社は開業後のコンサルティング案件が多く、開業準備の際に想定していたことが、実際にどうなったのかというノウハウがありますので、開業された先生方が開業準備でやっておいて良かったと感じていることをお伝えできればと思います。
今回は「準備ができていないので開業日をずらした方がいいですか?」というご質問をいただきました。
ウッドショックや半導体不足などで、予定通りに建物の引き渡しができない、頼んでいた設備が届かないという状況も発生しています。予定していた開業日が迫ってくる中で、無理してでも開業すべきか、開業日を遅らせるべきか悩まれることもあるかと思います。
開業日に関しては、十分な準備が出来ていない状況では、思い切って変更したほうが良いと考えています。
開業日を変更するデメリットは?変更しないデメリットは?
では、開業日をずらすことによるデメリットは、どんなことがあるのでしょうか。
一つは、すでに職員の採用が決まっている場合、「人件費がかかる」ということです。そして、テナントや借地であれば、毎月の支払いが始まってしまうということもあるかと思います。
こうした出費はありますが、それよりもしっかりと準備をして整えて、開業を迎えることが重要だと考えています。
逆に、建設が予定通りに進まず、研修期間が十分に確保できない中で開業した診療所も過去にありましたが、上手くいっているケースが少ないように思います。
離職問題や職員トラブルがあるという先生のお話しを聞くと、「開業時に価値観の統一やコミュニケーションの研修などを十分に行わずに慌ただしく開業をしてしまったので、初期の職員が辞めてしまった」というケースもあるようです。
開業日にこだわりすぎずに、着実に準備を進めていくことが大切なのではないでしょうか。
何をゴールにするのか できることを柔軟に
日々の診療や職員の人間関係がスムーズにいくことで開業医人生が豊かに、そして望んでいる人生を叶えることがゴールだと思います。
しかし開業準備している中で開業がゴールと捉えてしまうこともあるかと思います。
「急がば回れ」の発想で、日々の診療や人間関係がスムーズにいくために必要な準備期間をしっかり確保していただくことが大切だと考えています。
様々なことが予定よりも遅れてしまう状況でも、工夫次第で進められることもあるのではないでしょうか。
例えば、建物ができていないけれど職員は集まっているという場合は、近くの会議室を借りたり、オンラインで研修を行ったりすることもできます。
マナー研修といった社会人としての常識や、診療所の理念・ビジョンなど、職員で統一しておきたい価値観を共に学び、共有する機会を、場所を変えて行うことができるのではないでしょうか。さらに医療用語や医療機器の使い方などの研修も、診療所以外でもできることかもしれません。
そして、建物が完全にできていなくても、中に入ることができれば、オペレーションや診療の流れを確認することもできるかと思います。
また、職員も揃い、建物も完成しているものの設備が間に合っていない場合は、申請上の開業ができていれば、保険診療を行うことができますので、知り合いに診察を求めている人がいれば、診察を行っていくことも一つではないでしょうか。
何を目的に進んでいくのかという発想を大切に、柔軟にできることを探していくことが重要になると思います。
ぜひ開業をゴールにせずに、先生が叶えたい診療を実現するためにどのような準備が必要なのか考えていただければと思います。ご参考にしてください。
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