多様性時代の文化的差異に対応した医療現場で効果的な指示の伝え方とは|院長Q&A
IGYOUTV(YouTube)が公開した動画、【必見!誤解を防ぐ医療コミュニケーション術】医療現場の指示ミス防止/効果的な指示の出し方/文化的差異への適応/ハイコンテクストからローコンテクストへ/共通認識の再構築/価値観と言語の統一では院長先生からいただいた「職員に伝えたいことが上手く伝わらないことが増えてきた、何か良い対策はないか」というご質問に対してお答えしました。
こうしたことは医療業界に限らず増えてきていて、ビジネス業界の中でも「ローコンテクスト」なコミュニケーションが重要視されるようになってきましたのでご紹介します。
目次
日本の伝統的コミュニケーションスタイルと現代社会
長らく、日本のコミュニケーションはハイコンテクスト文化が主流でした。
これは、しぐさや文脈を読むこと、暗黙の了解といった言葉以外でコミュニケーションをとる文化です。共通認識が共有されていることが前提となっていたので、指示する際も特定の情報を言わなくても理解されることが期待されていました。
しかし、現代においては多様性が増し、価値観が広がったことで、以前と同じように自動的に理解されることは難しくなってきています。
この変化により、医療現場においても先生や職員間で指示がきちんと伝わらない事例や「なぜ察して行動できないのか」といった疑問が増加しているのだと思います。
ローコンテクストなアプローチの必要性
海外の多くの文化では、コンテクスト(文脈)に頼らず、しっかり言葉にして伝えるローコンテクストスタイルが一般的です。
相手が特定の情報なしで理解することを期待しないというアプローチです。
現代の日本においても、このスタイルが重要性を増し、特に多様な価値観と背景を持つ職員間での明確なコミュニケーションが必要になってきているのだと思います。
前提条件や背景、理由を詳しく伝えることが、誤解を防ぐ鍵と言えるでしょう。
明確なコミュニケーションの実践
現代において勘違いや誤解を防ぎ、職場でのスムーズなコミュニケーションを実現するポイントをお伝えします。
①背景説明の重要性
なぜその指示を出すのか、その背景や理由を詳細に説明することが必要です。これにより、職員は指示をより理解しやすくなります。
②価値観の統一
先生が大切にしていることや、院内で使用している言葉の意味の認識などを統一させることが大切です。
③情報共有
共通の前提や背景情報を職員間で共有することで、誤解を防ぎます。情報の透明性がコミュニケーションの円滑さに繋がるのではないでしょうか。
以上のようにしっかりと言葉にして伝えるローコンテクストアプローチを意識的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
一方で、事前に背景や理由を統一し、共通の言葉や価値観を共有しておくことでハイコンテクストアプローチで進められることも研究で明らかになっています。
院内での情報共有に力を入れていただければと思います。
動画はこちらから
詳しくはこちらの動画をご覧ください。
編集後記:個人の多様性尊重と組織統一の両立
かつて「KY(空気読めない)」という言葉が流行語として広まった時代がありました。
この言葉は、周囲の状況や他人の感情を察することの重要性を強調していました。
しかし、現代では「空気を読む」こと自体が一層困難な時代になっています。
個々人の多様性と個性が尊重される社会に大きく変わったことを今回のテーマで実感しました。
個人の多様性と職場の一体感のバランスを取ることは、時に難しいかもしれませんが、それが現代の医療現場が直面する重要な課題の一つだと思います。
個人の特性を活かしつつ、組織としての統一感を保ちながら、より良い医療サービスを提供することを目指すための参考になれば幸いです。
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