【助成金と補助金】知っておきたい基礎知識と準備
助成金や補助金の活用は、診療所経営においても、事業拡大や業務効率化、そして新しいサービスの導入において非常に有効です。
今回は、助成金と補助金の基本的な違い、準備方法、そして情報の調べ方についてご紹介します。
どちらも国や地方公共団体、あるいは民間団体から提供される資金で、財源は公的な資金です。そのため、無条件で誰でも受け取れるわけではなく、申請手続きや審査が必要で、一定の資格や条件を満たす必要があります。
助成金とは
助成金は、国や自治体が提供する返済不要の資金で、特に雇用促進や人材育成を目的としているものが多いです。
代表的なものに厚生労働省の「キャリアアップ助成金」や「業務改善助成金」があります。条件を満たせば比較的受給しやすく、年間を通じて申請できるものが多いのが特徴です。
ただし、所定の書類を正しく提出し、条件がクリアされていることを確認する必要があります。
補助金とは
補助金は、特定の事業や設備投資に対して、その一部を国や自治体が負担する制度です。
同じく返済義務はありませんが、助成金に比べて競争が激しく、審査によって採択が決定されます。支給額は比較的大きく、大規模な事業や設備投資に向いています。
補助金は後払い制が多いため、まずは自己資金で事業を進めるケースが多いです。また、申請書類の内容が審査の重要な要素となるため、綿密な事業計画や費用の見積もりが求められます。
2024年10月現在、例えば「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」など、経済産業省管轄の多くの補助金は公募が終了していますが、次年度の募集も予想されるため、早めに情報収集と準備を進めることが重要です。
準備:何をしておくべきか
まずは以下の点を検討し、事前に準備を進めることが重要です。
①何をやりたいか(事業内容の明確化)
助成金や補助金を申請する際には、具体的に何を実現したいのかを明確にすることが重要です。例えば、新しい医療機器の導入や、ITシステムの更新、またはスタッフの教育に関する施策など、具体的な事業内容を決めましょう。
②なぜそれをやりたいか(目的の整理)
その事業を実施する理由を整理し、明確にすることも大切です。例えば、業務の効率化や患者満足度の向上、スタッフの負担軽減といった、経営にプラスの影響を与える目的をはっきりさせます。
③費用はいくらかかるか(費用の見積もり)
事業にかかる費用を正確に把握するために、必要なものやサービスについて見積もりを取りましょう。これにより、どの程度の資金が必要で、そのうち助成金や補助金でどれくらいカバーできるかが見えてきます。
④どこで実施するのか(場所や環境の確保)
新しい施策を実施するためには、場所や環境の整備も重要です。例えば、クリニック内で新しいサービスを提供するのか、それともオンラインでのサービスなのか、といった点を具体的に考えておきましょう。
⑤どんな効果があるのか(成果の見込み)
最後に、その施策を実施した際にどのような効果が期待できるかを考えておくことも大事です。業務の効率化や患者満足度の向上、スタッフの定着率改善など、具体的な効果を予測し、申請書に明記できるように準備しましょう。
効果的な補助金申請のための準備とスケジュール
また、補助金の多くは募集時期が限られているため、早めの情報収集がポイントです。
まずは国や地方自治体の予算概要を確認し、今後予定されている施策の全体像を把握しておきましょう。
例外もありますが、多くは10〜12月にかけて補正予算が決定され、その後、3〜5月ごろに公募が始まる傾向があります。募集は短期間で行われることが多いため、各省庁の補助金案内や最新情報をこまめにチェックすることが重要です。
定期的な情報収集を心掛け、比較的採択率が高いとされる第一公募に向けて、余裕を持って準備を進めることで、スムーズな申請を目指しましょう。
助成金・補助金の調べ方
助成金や補助金の情報は、さまざまな機関やウェブサイトで公開されています。
代表的なものをご紹介しますので、活用して最新情報を確認しましょう。
「ミラサポplus」:中小企業向けに補助金や支援制度情報を提供する国のサイトで、会員になると、情報のカスタマイズや補助金の電子申請簡略化、経営診断も利用可能です。
「J-Net21」:中小企業基盤整備機構が運営する中小企業向けポータルサイトで、「支援情報ヘッドライン」で補助金や助成金、セミナー情報が確認でき、経営ノウハウや企業事例も豊富です。直近1週間に更新された支援情報をお知らせする無料メールマガジンもあります。
支援情報ヘッドライン | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
中小企業庁:中小企業向けの補助金の情報がまとまっており、新着情報の確認をおすすめします。
厚生労働省:雇用関連の助成金を中心に、人材確保や働き方改革に役立つ助成金を探すことができます。
助成金や補助金の内容に合わせて計画を立てるのではなく、まずは実施したいプロジェクトやその目的を整理し、その後に適切なものを選ぶことをおすすめします。
しっかりとした準備と事前のリサーチを行い、適切なタイミングで申請できるよう、ぜひご活用ください。