気持ちの“見える化”を 性の多様性を理解したALLYの行動がカギに
IGYOULAB(イギョウラボ)を運営する医療専門コンサルティング会社「トゥモロー&コンサルティング」では、2023年1月に性の多様性に関するセミナーを開催しました。中京大学でジェンダー論を担当されている風間孝教授のインタビューを交えて、診療所でどのような意識を持ち、どのような環境を整えていけばよいのか考えました。
風間教授のインタビューの中で特に印象的だった言葉などをIGYOULABの編集部がピックアップ、3回にわたってご紹介していきます。
2回目の今回は、性的マイノリティーの人たちを理解し支援する「ALLY(アライ)」について考えます。診療所づくりのご参考にしていただければと思います。
ALLY(アライ)とは?
ALLYとは、マジョリティー側(異性愛者やシスジェンダー)の人が、マイノリティーの人たちが置かれている状況や性の多様性を理解して、差別・偏見を無くすために行動する人たちのことを言います。
例えば、職場や学校などで、性的マイノリティーの人をからかうような発言があったとき、性的マイノリティーの人は声を上げにくいものです。
偏見・差別的な発言があっても、当事者が何も言えず、どんどん偏見が増大していき、ますます当事者が沈黙を強いられるという「沈黙の螺旋」を生み出してしまうのです。
そんな時に、マジョリティーの人が「その発言は良くないから止めようよ」と声を上げることで、当事者の代弁になり、沈黙の螺旋が止まることにも繋がります。
また「うちの会社でも同性カップルへの福利厚生を検討したほうがいいのでは」などと声を上げるということも、その一つです。
「マイノリティーの人が声を上げられないときに、性の多様性について理解した人たちが行動を起こしていくことが、社会が変わるカギ」だと風間先生は話していらっしゃいました。
ALLYであることの“見える化”を
風間教授はALLYであるということを可視化することも行動の一つだと話していました。
多様性の象徴であるレインボーカラーのものを身につけることも、ALLYであることを見える化する一つの手段です。
風間教授は、「性的マイノリティーの人たちをそっとしておこう」という人もいるが、そっとしておくだけでは、承認や尊重を得られないとした上で、性的マイノリティーの存在を受け入れて肯定していることを周りの人が態度で示すことで、「自分は生きていていいんだ」「受け入れられているんだ」という気持ちを持つことができる、肯定するメッセージを個人としても職場としても伝えていってほしいと話していました。
編集部あとがき
声が上がらないと、無いものとして捉えがちですが、そうではなく、声を上げたくても上げられない状況にある人たちもいるという意識を持つことの大切さを感じました。
そして、しっかりと行動に移すことの大切さも知りました。
現在では、レインボーカラーの様々なグッズが出てきています。医療機関の中には、レインボーフラッグを院内に掲げていたり、職員がレインボーバッチを付けていたりするところもあるようです。
こうした目に見える形で表現することで、患者さんだけでなく、ともに働く職員への発信という意味でも、診療所としてのスタンスや思いを伝えられるのではないでしょうか。
次回は、医療機関でどのような意識を持つべきか、どのような対応ができるのかについて考えます。
(次回は3月6日配信予定です。)