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患者さん、職員に対してできることは?“身近に一緒にいる”を前提とした対応を

IGYOULAB(イギョウラボ)を運営する医療専門コンサルティング会社「トゥモロー&コンサルティング」では、2023年1月に性の多様性に関するセミナーを開催しました。中京大学でジェンダー論を担当されている風間孝教授のインタビューを交えて、診療所でどのような意識を持ち、どのような環境を整えていけばよいのか考えました。

風間教授のインタビューの中で特に印象的だった言葉などをIGYOULABの編集部がピックアップ、3回にわたってご紹介しています。

3回目の今回は、医療機関での対応について考えます。診療所づくりのご参考にしていただければと思います。

アンケートなどの性別欄

医療機関でどのような対応ができるのか考えていきます。

まずは患者さんに対してです。

風間教授からは、「医療機関では、生物学的な性別を確認することが重要な局面があると思うので、生物学的な性を聞くときは、なぜそれが大事なのかを伝えるとよいのでは」というご提案をいただきました。

例えばアンケートなどの性別欄で、男性と女性を選ぶ仕様のものだと、男性、女性どちらでもないと認識している人などにとっては苦痛になってしまいます。まず一般的なアンケートであれば、本当に聞く必要があるのかを見直す必要があるようです。

厚生労働省が推奨している履歴書の性別欄は空欄になっています。欄外には、『「性別」欄:記載は任意です。未記載とすることも可能です。』と書いてあります。

(参考:新たな履歴書の様式例の作成について/厚生労働省HP

医療機関で、生物学的な性別を把握する必要がある場合は、欄外に「治療上必要なのでお聞きしています」と一言添えるだけでも大きいと話していらっしゃいました。

順番が来た際の呼び方

公的機関では、順番が来た際に、番号で呼ぶことが多くなっています。こうした対応が医療機関でも広がっていくとよいと風間教授は話します。

フルネームで呼んでいる診療所もあるかと思いますが、トランスジェンダーの人の中には、周りの目を気にする人もいるかもしれません。

例えば苗字で呼んで、名前は受付などで指さしで確認するという方法も一つです。誰もがかかりやすい医療機関に、そんな環境を整えていくことが大切なのかもしれません。

職員に対してできること

「患者さんの中に、そして共に働く職員の中に性的マイノリティーの人がいるかもしれない」そう思って行動に移すことが大切だと風間教授はおっしゃっていました。

診療所の中には制服を活用されているところもあるかと思いますが、制服をはじめ、男女で異なる仕様にしている持ち物などを、男女統一にすることも一つの方法だと、風間教授にご提案いただきました。

気持ちよく安全に働ける環境を。

周りにいないのではなく、いることを言えないという人がいるかもしれないという意識を前提にした組織づくりの大切さを感じました。

マイノリティーがいるという前提で対応を

最後に風間教授から、医療従事者のみなさんに伝えたいことを伺いました。

性的マイノリティーの人たちに関する様々な調査が行われていますが、平均すると5%前後、性的マイノリティーの人がいると言われています。

患者さんの中にも、そして一緒に働く職員の中にも性的マイノリティーの人がいて当然で、「いるかもしれない」という前提で対応を始めていただきたいと思います。

性的マイノリティーの人の中には、「医療機関で自身の性別を面前と尋ねられたらどうしよう」などと不安で病院に行けずに、どんどん健康を害してしまっている現状もあります。性的マイノリティーの人が安心して通院できるような医療機関であってほしいです。

このように締めくくられました。

編集部あとがき

性的マイノリティーの人の割合は、様々な調査を平均すると約5%。この数字をみなさんはどのように捉えられますでしょうか。

今回のセミナーに参加された先生の中には、翌日から問診表の性別欄を空欄に変更したという方もいらっしゃいました。さっそく行動に移していただけたことを大変嬉しく思います。

風間教授がおっしゃっていた「周りにいる前提で対応を」。

新しい知識を習得し、小さな意識で言動が変化していくことを改めて感じました。普段の生活、職場などで意識していきたいと思います。

心と体の健康の窓口に・・・

どんな人にとっても、行くのが怖いのではなく、安心していける診療所に。

ぜひ先生方の診療所づくりのご参考にしていただければと思います。

著者:IGYOULAB編集部(イギョウラボ)

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