賃上げや生産性向上を考えている先生方へ|令和6年度 業務改善助成金の申請受付中
近年の物価高騰や最低賃金の引き上げで、医療経営は一層困難になっているかと思います。財務負担を少しでも軽減し、より効率的な業務運営を実現するためのサポートとして、今回は、設備投資や人材育成に利用できる助成金の中でもおすすめの「業務改善助成金」についてご紹介します。1年度内に申請可能な回数が1回までとなるなど、今年度から変更点もあります。
業務改善助成金とは
「業務改善助成金」は、設備投資など生産性向上のための取り組みと、最低賃金を一定額以上引き上げに取り組む中小企業、小規模事業者を支援する制度です。
具体的には、
・事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ
・生産性向上のための設備投資などを実施
(機器・設備の導入、業務改善のためのコンサルティング、人材育成研修など)
この2つを行った場合に、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。
なお、事業場内最低賃金の引き上げや設備投資などは、これから実施するものが助成の対象となります。
助成額は、かかった費用に助成率を乗じて算出され、最大で600万円が助成されます。
申請を行う事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって、助成率が変わります。
対象要件と令和6年度からの変更点
【対象事業者】
・中小企業、小規模事業者
・解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がない
【令和6年度からの変更による注意点】
①申請回数
令和6年度中に可能な申請回数は1回まで
②対象となる賃金引き上げ方法
事業場内最低賃金の引き上げは1回のみ
(複数回の引き上げは助成対象外)
③特例事業者要件
助成上限額や助成率、助成対象経費の拡充が受けられる特例事業者において、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者向けの「生産量要件」が終了
(「賃金要件」と「物価高騰等要件」は継続)
④経費の特例
「生産量要件」または「物価高騰等要件」の事業者に認められていた広告宣伝費や改築費、汎用事務機器や什器備品の購入など「関連する経費」が終了
(車やPCなどの導入に認められる特例は継続)
助成金を受給するには?
申請から受給方法は以下の通りです。
事業所ごとに事業実施計画書(賃金引き上げや業務改善方法を記載)や交付申請書などを管轄の都道府県労働局に提出します。その後、交付が決定したら、計画に沿って賃金引き上げや設備投資などを実施し報告書と支給申請書を提出します。審査を経て、助成金が支払われます。
【申請期限】2024年(令和6年)12月27日まで
なお、事業完了期限は2025(令和7)年1月31日までです。
(やむを得ない事由がある場合は、理由書の提出で事業完了期限を2025(令和7)年3月31日とできる場合があります。)
お問い合わせ先はこちらです。
業務改善助成金コールセンター:0120-366-440
受付時間 平日 8:30~17:15
業務改善助成金の申請受付などは、各都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)となっています。
業務改善助成金に関する詳細は厚生労働省のサイトをご覧ください。
動画による解説もありますのでご活用ください。
厚生労働省「生産性向上のヒント集」の活用を
厚生労働省は、業務改善助成金を利用して、賃金の引き上げや、業務の効率化・働き方の見直しを行い、生産性向上を実現した事例を集めた「生産性向上のヒント集」を毎年発行しています。具体的な改善例が豊富に掲載されており、直近では、自動洗浄機能付き歯科ユニット(診療台)を導入したことで洗浄作業の効率化が図られ、診療者数の増加に成功した例などが紹介されています。
申請についてお悩みの先生方の参考になるかと思いますので、ぜひご活用ください。
「生産性向上のヒント集」は以下のリンクからアクセスできます。
最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業 |厚生労働省
働き方改革推進支援センターの活用を
働き方改革推進支援センターは、中小企業や小規模事業者が直面するさまざまな課題に対応するために全国47都道府県に設けられたワンストップ相談窓口です。働き方改革を広く支援する取り組みに関する個別相談やコンサルティングなどを行っています。助成金の活用方法をはじめ、就業規則の作成方法、賃金規程の見直しなどに関して、社会保険労務士を含む専門家が無料でアドバイスを提供しています。
【個別相談支援】
①窓口(来所)、電話、メールなどによる相談に対応
②企業へ直接訪問するなど、事業主の方が抱えるさまざまな課題についてコンサルティングを実施
③依頼などに応じて、商工会議所・商工会・中小企業団体中央会・市区町村等で出張相談会を開催
【働き方改革セミナー】
働き方改革関連法の周知、36協定の締結や就業規則作成に当たっての手続き方法、その手法に合わせた労働関係助成金の活用などについて、企業向けのセミナーを随時開催
詳細や相談窓口の場所については、厚生労働省のウェブサイトにてご確認いただけます。
助成金の活用に迷っている、利用できるか分からない先生方は、まずは「働き方改革推進支援センター」への相談を検討してみてはいかがでしょうか。
多忙な日々の業務に追われ、助成金の申請に時間を割くことが難しいと感じる先生も多いかもしれませんが、助成金の利用で得られる将来的なメリットは大きいのではないでしょうか。ぜひこの機会にご検討ください。