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安全・信頼・成長をつなぐ医院経営 | 11/24(日)~30(土)は医療安全推進週間です

毎年11月の最終週に実施される医療安全推進週間。

【参考】

令和6年度「医療安全推進週間」について|厚生労働省

多忙な現場で「業務の負担が増えるのでは」と取り組みに慎重になる先生もいらっしゃるかもしれません。

医療安全の取り組みは、患者満足度やスタッフの働きやすさを向上させるだけでなく、診療所経営の安定的な成長を支える重要な要素でもあります。
事故リスクを減らすだけでなく、患者さんとの信頼関係を深め、スタッフのモチベーション向上や業務効率化といった経営面での成果も期待できます。

医療事故がもたらす大きな影響

医療事故が発生した場合、その影響は診療所内外に広く波及します。
患者さんやその家族との信頼関係が損なわれるだけでなく、地域での評判も低下します。
地域医療における信頼は、一度失われると回復に長い時間と多大な労力を要します。

さらに、事故に関与したスタッフの心理的負担は甚大で、モチベーションの低下や離職につながることも少なくありません。
熟練したスタッフが離職すると、採用や育成のコストが発生するだけでなく、現場のスムーズな運営にも支障をきたします。
医療事故のリスクをゼロにすることは難しいですが、その可能性を限りなく低くする取り組みが診療所経営には不可欠です。

医療安全の視点で見直す業務改善

多くの院長が直面する「スタッフのミスが続く」「患者さんからのクレームが多い」といった課題も、医療安全の視点からアプローチすることで改善が期待できます。

これらの課題を解決するには、個々のスキルだけに頼るのではなく、診療所全体の仕組みやプロセスを見直すことが重要です。
以下に、効果的な業務改善の具体例をご紹介します。

効果的な業務改善の例

・チェックリストの導入
処置や診察時に「患者さんの名前や診療内容を確認する」「使用する医薬品の名前と分量を再確認する」など、重要なポイントを確認するチェックリストを設けることで、確認漏れを防ぎます

・情報伝達プロセスの整理
デジタルツールや電子カルテを活用し、患者情報や検査結果をタイムリーかつ正確に共有する仕組みを整えます

・定期的な業務フローの見直し
スタッフ全員で業務フローの問題点を話し合い、現場で発生したヒヤリハット事例を基に具体的な改善策を講じます

・多職種連携の促進
医師、看護師、受付スタッフなど、異なる職種間で週1回程度のミーティングを行い、診療内容や患者ケアの進捗状況を共有することで、情報の行き違いや無駄な作業を防ぎます

・スタッフ教育プログラムの導入
シミュレーショントレーニングなどの実践的な方法を活用し、現場で遭遇するリスクに対応する力を育成します
特に新人スタッフには、標準化された教育プログラムを導入することで、基礎的なミスを減らし、全体の安全性を向上させることが必要です

信頼関係が築く、より安全な医療

業務フローやスタッフ教育の改善と並行して、患者さんとの信頼関係を構築することも、医療安全を実現する上で重要な要素です。
患者さんからのクレームの大半は、説明不足や期待とのギャップに起因します。

医療安全推進週間を契機に、患者さんへの説明方法や情報提供の仕組みを見直すことは、誤解や不満の軽減に効果的です。

たとえば、治療方針やリスクの詳細を図解やパンフレットで補足することで、患者さんの理解度を高めることができます。

適切な説明やコミュニケーションを怠ると、小さな誤解が重大な問題へと発展し、医療事故につながる可能性もあります。
患者さんとの信頼関係を深めることは、クレーム防止のみならず、事故リスクの低減にも寄与する重要な取り組みです。

医療安全の「見える化」

医療安全の取り組みを患者さんに伝えるためには、「見える化」が重要です。
待合室やウェブサイトを活用して、感染対策や緊急時の対応手順などを具体的に発信することで、患者さんに安心感を与えられます。
たとえば、以下のような取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。

待合室での取り組み例

・「手洗いの正しい方法」や「感染防止の取り組み」を掲示板やデジタルサイネージで紹介
・緊急時の避難経路やAEDの設置場所をわかりやすく表示
・小冊子やリーフレットを用意し、必要な情報を患者さんが持ち帰れるようにする

ウェブサイトでの取り組み例

・診療所が行っている安全対策を「お知らせ」ページや特設ページで紹介
・「患者さんが安心して受診するために」というコンテンツを作成し、院内の取り組みやスタッフの姿勢を可視化
・よくある質問(FAQ)コーナーを設け、患者さんが疑問を事前に解決できるようにする

スタッフ教育の充実

医療安全を実現するには、スタッフ全員が共通の意識を持つことが重要です。
定期的な研修やミーティングを通じて現場の課題を共有し、改善策を検討する場を設けましょう。
以下は、現場で活用できる研修やミーティングの具体例です。

研修・ミーティングの具体例

・ヒヤリハット事例の共有
最近の事例をもとに、「何が問題だったのか」「どう改善するか」をディスカッション形式で議論し、一体感を高めます

・ロールプレイ形式のトレーニング
患者さんとのトラブルを想定したシミュレーションを行い、適切な対応方法を習得します
たとえば、「処方ミスが疑われる場面での対応」を練習するなど

・定期的なミーティング
週1回の朝礼や月1回の会議で課題を共有し、具体的な解決策を検討するとともに、チームごとのミニミーティングで日常業務の改善点を話し合いながら、一体感を高めつつ業務の効率化と安全性の向上を図ります

患者さんと協創する医療安全

医療安全をさらに強化するためには、スタッフの取り組みだけでなく、患者さんとの協力も欠かせません。
患者さんの協力を促す仕組みづくりは、医療現場の安全性を高めるうえで非常に重要です。

治療のリスクや方針について丁寧に説明し、患者さんが主体的に医療に関われる環境を整えることが求められます。
診察時に気になることを気軽に報告できる雰囲気を作ることで、患者さんの積極的な参加が促され、結果として医療安全の向上につながります。

医療安全がもたらす経営的効果

医療安全への投資は、単に医療の質を高めるだけでなく、診療所の経営にも長期的なメリットをもたらします。

安全への配慮が行き届いた医療機関は、患者さんから高い評価を受けやすく、リピート率の向上が期待できます。さらに、信頼を得た患者さんからの口コミにより、新規患者の増加も見込めます。
また、スタッフにとっても、安全が重視される職場環境は働きやすさを生み出し、チーム力の向上や離職率の低下につながる可能性があります。
このような好循環が、診療所全体の成長を後押しし、地域での評価向上にも寄与するでしょう。


医療安全を「コスト」ではなく「未来への投資」として捉えることで、診療所経営のさらなる発展が期待できます。

この機会に、医療安全の取り組みを見直し、診療所の価値をさらに高める一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

著者:IGYOULAB編集部・森田

2児の母であり、転勤族で多くのクリニックや歯科医院を受診してきた経験を活かして、患者さん目線での意見や記事を提供できたらと思います。

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