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「怒り」との上手なつきあい方 ~パート1~

院内や家庭で腹が立つ時やイライラする時、あなたはどのように表現していますか?カッとなって徹底的に攻撃してしまいますか?怒ったところでしょうがないと、ため息をついて諦めていますか?それとも、その場では平静を装い、後でやり返しますか?

「怒り」との上手な付き合い方について2回に分けてご紹介します。今回は、怒りの扱い方を学ぶ第1段階として、「怒りとはどういうものか」についてお話しさせていただきます。

悪い感情?表現が難しい「怒り」

自分が何かに対してイライラしているとき、目の前の人につい怒りをぶつけてしまい、その人との関係がギクシャクしてしまうことがあります。「怒るのは悪いこと」と自分の怒りに蓋をしていると、欲求不満がつのり、ついには爆発して、周りの人や、自分自身を傷つけることにもなりかねません。

「怒り」は人間の喜怒哀楽の中でも、最も取り扱いが難しいと考えられています。社会では「怒らないこと」=「大人である」とさえ言われるほど、怒りは否定的な評価を受けています。

しかし、怒りは決して悪い感情ではなく、人間の自然な感情です。この感情は、自分の領域が侵されたり、期待していた状況とは違う現状に直面したりしたときなどに湧いてきます。つまり、怒りは目の前にある問題を教えてくれたり、危険を教えてくれたりする大切なものです。

ただし、感情を抱くことと表現することは違います

「怒りの感情を持つこと」と「攻撃的な表現をすること」を分けて考え、怒りの感情との上手な付き合い方や、表現の基礎を学んでいきましょう。

ステップ1 ~自分の「怒り方のクセ」に気づく~

怒りの感情は誰でも抱くものです。しかし、怒ったときに「どう振る舞うか」は、様々な場面で身につけてきた「クセ(行動様式)」によるものです。みなさんは怒りを感じたときどのように振る舞うでしょうか。多くの場合、反射的にいつものクセが出ているはずです

まずは、「怒ったときのクセ」を知り、その上で、どのように振る舞いを見直したらよいかを検討していきます。

おこりキャラ(攻撃型)
~カッとなって相手を徹底的に攻撃してしまうタイプ~

おこりキャラの伝え方のパターンは相手が自分の思い通りに行動しないことが許せず一方的に怒ってしまうこと。心の中にイライラが溜まっていて、ちょっとしたことでカッとなって感情的になり、言い過ぎたり相手を責めたりして後で反省します。



ひるみキャラ(受身型)
~怒ったところでしょうがないとあきらめているタイプ~

ひるみキャラは、相手に悪い気がして、本当は嫌なのに断れなかったり、嫌な気持ちを抑え込んで笑顔で振る舞ったりすることがあります。
「怒ったところで何も変わらないし、関係を悪くするよりは自分が我慢した方が、波風が立たない」と、怒りを飲み込んだり、怒り自体を否定したりします。とはいえ、心の中では知らず知らずのうちに相手に対する恨みが溜まっていて、いつか爆発してしまいます。



いやみキャラ(作為型)
~その場では怒りを直接表現せず、後で復讐するタイプ~

いやみキャラは、自分の不平不満について相手ときちんと話し合わずに、つい嫌味な言葉を投げかけてしまいます。その場では怒りを表現しないで、後々相手に復讐したり懲らしめたりする傾向があります。「怒ってないよ」と言いながらも目に険があったり、怒りのオーラが漂っていたりします。周囲の人は、あなたの本心が分からず不安になって距離を置くなど、結果として人間関係にヒビが入ることがあります。

みなさんはどのタイプでしょうか。どれかのタイプに当てはまるという人もいれば、いくつかのタイプがミックスしているという人もいるでしょう。院内ではひるみキャラ、家ではおこりキャラになるというように、場所や人によって変わることもあります。

いかがでしたでしょうか。今回は、怒りの上手な付き合い方を学ぶ第1段階として、「怒りとはどういうものか」についてご紹介しました。

次回は、怒りの扱い方について事例を用いて具体的にお話しします。次回の配信は1月26日配信予定です。

著者:葵いと(あおい・いと)

臨床心理士・公認心理師

立教大学大学院現代心理学研究科臨床心理学専攻修了。児童相談所など行政領域での経験を経て、現在は児童精神科、心療内科にて勤務。主に発達障害や家族関係の悩みへのカウンセリングを行っている。
また「働く人のメンタルヘルスケア」を目的に、歯科医院の従業員に向けた出張カウンセリングにも力を注ぐ。
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