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近隣クリニック近くの看板を撤去するよう言われた 撤去費用の請求は可能?|診療所のトラブルQ&A #8

診療所でのトラブルに関する質問に、本山総合法律事務所代表の宇佐美芳樹弁護士にお答えいただく連載。今回は「近隣クリニックの近くに看板を立てたら撤去するよう言われました。撤去費用は請求できるでしょうか?」というご質問にお答えいただきます。

相手の敷地内でなければ

看板の撤去を求められたとのことですが、「相手方の敷地内に看板を立てた」などといった特殊な場合でなければ、相手方に看板の撤去を求める権利はないため、応じる必要はありません。

したがって相手方に対し、「看板を撤去して欲しいのであれば、その費用を負担して欲しい」と条件を出しても何ら問題はありません。

複数の法規制がある看板設置

看板を出すにあたっては、いくつも法規制が設けられています。そのため、広告業者に依頼して看板を出すような場合は問題が生じないと思いますが、自分で看板を作成して設置する場合には、法律をよく調べて設置する必要があります。

例えば、よく店頭で見かける立看板も敷地内に出すのであれば基本的には問題ありませんが、歩道上に設置する場合には許可が必要であり(道路法32条)、無許可で置いた場合には「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられます。

人が看板のようなプラカードを持って座っているのを見たことがある方は多いと思いますが、あれは立看板を設置すると違法になるため、それを回避するために人に持たせているのです。

医療法に基づく規制にも注意を

また、医師や歯科医師が看板広告を出すにあたって、もう一つ、気をつけるべきことがあります。それは医療法に基づく広告規制です。医師や歯科医師の広告に関する相談は、この法律に関するものが圧倒的に多いです。

医師や歯科医師の広告に対して、国は医療法により厳しい制限をかけており、法律が認めている
①医師や歯科医師であること
②診療科名
③病院や診療所の名称、電話番号、所在地、管理者名
などの一定の事項しか記載できません。

より詳しく知りたい方は医療法6条の5第3項及び医療広告ガイドラインで確認できますが、分かりやすく言いますと「抽象的な誘い文句のようなものは記載できず、事実のみを端的に表示することしか認めない」という規定となっています。

したがって、看板を出す場合には上記医療法が認めている記載事項のみを記載した看板を出す必要があります。

なお、ホームページについては、一定の要件を満たせば広告規制が解除され「治療内容や治療効果に関する体験談の掲載」など、法が禁止しているいくつかの事項を除いては記載することが可能になります。

違反の疑いが生じると調査が入り、調査で違反が認められると、当該広告の中止や是正が命じられます。そして、これに従わないと、「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課せられ、最悪の場合、病院の開設許可の取り消しという行政処分を受ける場合があります。

まとめ

以上のように、今回のご質問に関しては、撤去にかかる費用を請求することに特に問題はありませんが、広告を出す場合、特に医師や歯科医師が出す場合には様々な制約がありますのでご注意ください。

著者:宇佐美 芳樹

本山総合法律事務所代表弁護士。愛知県弁護士会所属。

労務管理、労働トラブルの解決、債権回収、クレーマー対応、契約書のリーガルチェックなどの企業法務を中心に、離婚、相続、交通事故まで広く民事商事全般を取り扱う。クライアントの声に耳を傾け、粘り強く最良の解決方法を探っていくことを信条とする。

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