幸せと成長を追求|人を大切にする診療所
12月に行われた愛知県春日井市にある坂井耳鼻咽喉科の職員のみなさんと、同県東郷町にある製造業の工場の従業員のみなさんとの交流会の現地取材のリポートを3回にわけてお伝えしています。
『よい組織づくり』に向けて取り組んでいる診療所と企業のそれぞれの取り組みをご紹介しています。今回は坂井耳鼻咽喉科です。
患者さんと働く職員を大切にする坂井耳鼻咽喉科
2000年11月に開院した愛知県北西部の春日井市にある坂井耳鼻咽喉科。今年で開院21周年を迎えた。坂井邦充院長とともに看護師8人、医療事務7人が働いている。
診療所の理念は、「患者さんに来てよかったと思ってもらい、スタッフが人として成長できる職場にすること」だ。
スタッフが成長する場を作りたいとの想いから見学会や交流会を定期的に実施、年に3つのクリニックを見学しているだけでなく、他業種見学交流会も行っている。
こうした交流会は、「自分たちの常識を疑い、自分たちに無いものを得て、自分たちを知ってもらい、自分たちが変われるチャンスだ」と捉えている。
休診日に研修手当をつけた上で行っている他業種間交流。職員のみなさんが、坂井院長の交流会への思いをしっかり理解し、前向きに、そして楽しみながら他業種間交流に参加している姿が印象的だった。こうした研修会を前向きに行える職場の風土が、普段からの取り組みの中から生み出されているのであろう。
職員からも、「職員みんなが同じ方向を向いてほしい」という思いで組織づくりをしている院長の想いに応えるように、職員も同じ方向を向いていこうという姿勢がある職場だと話していた。
坂井耳鼻咽喉科では人間関係を円滑するため性格分類法である類人猿分類診断を行っている。
①感情を表に出す方か?
・はい
・いいえ
②望むことは?
・物事を追求し、成果を上げること
・安定・安全を維持すること
この診断によって4つに分類し、それぞれの個性を認め合うことを大切に、良好な人間関係を目指している。
また朝礼では、それぞれの職員が自身の年間目標を黙読し、クリニックの月間目標を共有している。そして、ユニークなのが早口言葉の導入だ。早口言葉を全員で順番に言うことで患者さんの対応時などに聞きやすい発声に繋がるだけでなく、笑顔あふれる朝礼になったという。朝礼の最後は、全員でハイタッチをして、気分を高めてから仕事についているのだ。
さらに
・ありがとうカード
・お褒めの言葉カード
・改善提案カード
この3つのカードの存在が職員間の良好な人間関係の構築の一助となっている。
「ありがとうカード」は「仕事のフォローをしてくれてありがとう」など共に働く仲間への感謝の気持ちを表すもの。
感謝の言葉を伝えたい同僚の名前と感謝していること、お礼の気持ちを書いて、1枚は本人に、もう1枚は院長に届くポストにいれる。院長からミーティングの際に、全員の前で紹介される。「ありがとう」の言葉だけでなくカードに残すことで、職員が思い返すことができ、感謝されていることに気づくきっかけになっているという。
「お褒めの言葉カード」は、患者さんから褒めてもらったことをカードに書いて、院長ポストに入れる。こちらも朝礼で発表され、みんなで共有されている。
「改善提案カード」は、月に必ず一人一つは書くという決まりになっていて、スタッフルームに貼り全員で提案内容を共有している。改善された事柄についても全員で共有し、改善後どうなっているかの検証も行っている。
患者さんのことを考え、そして共に働く仲間への心配りも欠かさない姿勢を大切にしている坂井耳鼻咽喉科。小さな気づきや感謝の気持ちを形にすることで、仲間同士の結束が生まれ、常に考えて行動することで、組織として成長し続けることに繋がっているのかもしれない。
次回は、交流会の中で行われたディスカッションの様子をお伝えする。
次回の配信は1月24日の予定です。